永久なる春の追悼曲(第七話)紫天宮と罪の術式(2)
5 執行前の休暇 それから四か月後、十一月末。 儀式の三日前、よく晴れた初冬の日に、ふたたび望月充希がやってきた。充希は祖父に付き添われ、「やっ、清矢くん」と笑った。その軽い態度に、清矢は和ませられた。 さくらばあちゃんが、充希のじいちゃんとの再会を喜んでいる。 ...
5 執行前の休暇 それから四か月後、十一月末。 儀式の三日前、よく晴れた初冬の日に、ふたたび望月充希がやってきた。充希は祖父に付き添われ、「やっ、清矢くん」と笑った。その軽い態度に、清矢は和ませられた。 さくらばあちゃんが、充希のじいちゃんとの再会を喜んでいる。 ...
1 祝祭と密約 五月、盛春を過ぎたゴールデンウイークの休日。諦念も悲嘆もすべて飲み込んでしまいそうな蒼い空の下。陶春県青雲市、永春大社にて、とあるビッグカップルの結婚式が行われた。白透光宮家傍系の結城疾風博士と、地元の有力者である海軍大佐・久雄氏の長女、久雄楓。夜空を探してロン … ...
5 荒れるA組 翌朝、クラスに復帰するとたしかに雰囲気が悪かった。 登校して自分の席に着くと、友人の徹がいそいそとチクってくる。 「清矢。手塚なんだけど、『海百合党』だし怪しいぜ。行方不明のお兄さんのニュース、すっげー喜んでた」 「確かに、いい気分じゃねーけど、喧嘩売るのはヤ … ...
1 もう一人の男 その男は清矢より七センチ背が高く、渦中の少年が求めるものすべてを備えていた。順和二十七年(ロンシャン歴After Katastrophe 1309)八月末日、北陸新潟県月華神殿より帝都に帰還した祈月清矢を待っていたのは、祈月軍閥参謀、二十六歳の伊藤敬文元少尉 … ...
5 偽装されたラブストーリー 月華神殿にたどりつくと、石膏塗りの玄関口で毛利諒が蘭堂宮朱莉と談笑していた。黒のシャツにループタイを締めた端正な立ち姿だ。濃紺のスラックスも洒落ていた。朱莉は巫女服のまま、自然に応対している。 ...
1 演出された天災 順和二十七年六月、樹津川河口の空が赤黒く染まった。 兵たちの血が空に映ったのだと、山城県の民たちは声を潜めて語り合った。 鷲津氏率いる国軍の一部による山城県への侵攻は、もはや単なる地方軍閥の討伐ではなく、日ノ本の命運を占う戦となった。 ...
6 至極殿よりの使者 ビルにたどり着いて執務室に居残る参謀たちに危機を訴えると、若者たちは緊急で会議室に集められた。 伊藤敬文は事態を憂う。 「至極殿紫天宮は帝都が管轄。鷲津に裏切ったか? よくないな」 「祈月とこの地の同盟を阻もうとしてるんだ。また戦になったら、学校どうしよ … ...
1 恋ゆえのあやまち 古今東西、恋のパワーとは恐ろしい。 初恋の僧に会うために八百八町を炎に染める、それだけの危うい熱意に満ちている。 恐ろしい術師が渚村を襲った悪夢から数日後。夏目雅は幽明の境を漂っていた。 幼い夜空は泣きじゃくり、夏目屋敷に泊まり込んで、実の息子の文香 … ...
05 抜けば珠散る恋風魔風 十五にもなれば、男子も女子も色気づく。 彼女は今年の四月に、桜風のようにやってきたと、クラスメイトの高梨は言った。 どうにも十五にしては雰囲気が大人っぽい。細い体は均整がとれていて、胸も大きく腰も安産型だ。志弦だって見た目は非常に可愛いが、その子 … ...