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月華離宮の伏魔宴(第五話)水迷宮のプリンセス(1)

月華離宮の伏魔宴(第五話)水迷宮のプリンセス(1)

終わりの後の夜物語

1 演出された天災 順和二十七年六月、樹津川河口の空が赤黒く染まった。 兵たちの血が空に映ったのだと、山城県の民たちは声を潜めて語り合った。 鷲津氏率いる国軍の一部による山城県への侵攻は、もはや単なる地方軍閥の討伐ではなく、日ノ本の命運を占う戦となった。 ...

盛夏の夜の魂祭り(第四話)草迷宮の開く宵(2)

盛夏の夜の魂祭り(第四話)草迷宮の開く宵(2)

終わりの後の夜物語

6 至極殿よりの使者 ビルにたどり着いて執務室に居残る参謀たちに危機を訴えると、若者たちは緊急で会議室に集められた。 伊藤敬文は事態を憂う。 「至極殿紫天宮は帝都が管轄。鷲津に裏切ったか? よくないな」 「祈月とこの地の同盟を阻もうとしてるんだ。また戦になったら、学校どうしよ … ...

盛夏の夜の魂祭り(第四話)草迷宮の開く宵(1)

盛夏の夜の魂祭り(第四話)草迷宮の開く宵(1)

終わりの後の夜物語

1 恋ゆえのあやまち 古今東西、恋のパワーとは恐ろしい。 初恋の僧に会うために八百八町を炎に染める、それだけの危うい熱意に満ちている。 恐ろしい術師が渚村を襲った悪夢から数日後。夏目雅は幽明の境を漂っていた。 幼い夜空は泣きじゃくり、夏目屋敷に泊まり込んで、実の息子の文香 … ...

盛夏の夜の魂祭り(第三話)嫉妬の業火は諸刃の剣(2)

盛夏の夜の魂祭り(第三話)嫉妬の業火は諸刃の剣(2)

終わりの後の夜物語

05 抜けば珠散る恋風魔風 十五にもなれば、男子も女子も色気づく。 彼女は今年の四月に、桜風のようにやってきたと、クラスメイトの高梨は言った。 どうにも十五にしては雰囲気が大人っぽい。細い体は均整がとれていて、胸も大きく腰も安産型だ。志弦だって見た目は非常に可愛いが、その子 … ...

盛夏の夜の魂祭り(第三話)嫉妬の業火は諸刃の剣(1)

盛夏の夜の魂祭り(第三話)嫉妬の業火は諸刃の剣(1)

終わりの後の夜物語

1 幻想と崩壊のラ・ヴァルス 三拍子のリズムが不吉な旋律で響く。交響詩が描くのは、ハイヒールを履いた女性の手を夜会服の男性が取り、熱に浮かされたように踊る幻想だ。かかっているのはモーリス・ラヴェル作曲の『ラ・ヴァルス』。陶春県服飾の大店、草笛家の昼下がりには似つかわしくない音楽 … ...

お題「鼻歌」 「小さな幸せ」

お題「鼻歌」 「小さな幸せ」

理想郷での夢物語

 俺は夏が好き。冷え性で冬は末端が冷えるから。風属性塔のサロンでそう言ったらルームメイトの充希は反論した。 「えー、清矢くんに似合う季節って冬じゃない。夏男は俺でしょ? 海辺のアバンチュール、階段でかじるオレンジだよ」 「冷たい性格とかそういう俺への間違ったイメージじゃねぇだろう … ...

お題「照れ隠し」「かじかむ指先」

お題「照れ隠し」「かじかむ指先」

理想郷での夢物語

 クリスマス休暇が始まった。全寮制かつグローバル規模のアルカディア魔法大学では、一ヶ月程度の休みでは里帰りには充分でなく、とくにアジア圏の学生たちにとっては、聖属性塔カセラドルで行われるミサに参加し、故郷へ手紙を送る程度が関の山で、中には直後に迫った卒論の締め切りや、テストに備え … ...

お題「ワイン」「大人になんてなりたくなかった」

お題「ワイン」「大人になんてなりたくなかった」

理想郷での夢物語

 時は七月、時刻は四刻半。アルカディア魔法大学闇属性塔ではクラウス第一王子殿下の発令により特別賓客室にて会合が行われていた。列席者はロンシャン亡命者である草笛・K・夜空、そして彼の留学時からの道連れである大麗官吏・葉海英、そしてクラウス殿下自身と、新入生のトピアス・シルヴァノイネ … ...