「終わりの後の夜物語」日本編・登場人物一覧
基本設定
かつての皇帝直属退魔軍の大将であった
陶春県の人物(祈月家御庭番衆、常春殿、陶春魔法大)
愛野京(あいの・みやこ)
汐満市湖陵町の『汐満医院』院長の息子。犬亜種。 結城疾風とともに魔法を学ぶためロンシャンジェネラルから海外留学したが、ロンシャンアカデミー医学科に入れるのは学士修了後と聞いて、グリーク魔法大医学部に進路を変更し、無事研修医を終えて戻ってくる。 錬金系の回復魔法『ディア(Dear)』を専門としており、漢方内科治療における『ディア』の効果促進を研究している。日ノ本の魔法医療の第一人者だが、『ディアレスト(Dearest)』などの復活魔法に関しては医師免許取得者に限定するなど、何らか制限をかけたい模様。親切すぎて、『ディア』を大盤振る舞いするため、魔力切れになっていることもしばしば。ほがらかな先生だが、夜空とは気が合わないようだ。
安部帰明(あべ・きめい)
陶春県松嶋市の結界をつかさどる安部神社の神主。銀狐亜種。 彼のおかげで、松嶋市内は魔物被害が少ない。 土御門氏の血縁で、先代・土御門景明の異母弟。母方の安部氏を名乗っている。 十二支を式神として使役する『十二神将』の術が使える。ほか、結界やお祓いなど、神道系の術の天才でもある。
ただし、占いだけは兄・土御門景明に負けていたようだった。
陶春魔法大が出来たのちも汎用系魔法を嫌っていたが、だんだん興味をもつように。清矢たちの退魔術の最初の師匠。祈月氏びいきで、キュートな初老の男。
市村文吾(いちむら・ぶんご)
常春殿神兵隊の若手。犬亜種で、渚村(白狼村)のとなりの初瀬村(犬村)の出身。 祈月耀頓死事件の犯人が風祭家だという説には疑念を示す。
小川憲彦(おがわ・のりひこ)
常春殿神兵隊黒裳衆を率いる副隊長。狼亜種。黒裳衆は隠密、拷問なども受け持つ。 祈月耀と同年代の年長者。 祈月耀頓死事件の犯人が風祭家だという説を訂正し、清矢を神兵隊に受け入れる。
風祭銀樹(かざまつり・ぎんじゅ)風・闇・重力
渚村前村長の孫で、清矢たちよりも五つ年上。 御庭番衆の家柄だが、耀殺害の嫌疑をかけられていたことや、花農家を継ぐのが嫌で、グレ気味だった。 風車で風を操ったり、異次元の歪みを作り出してはさみで首を刈ったりできる恐ろしい術師でもある。 清矢たちの兄分で、皮肉屋。
草笛広大(くさぶえ・こうだい)風・土・火・水・闇(※光ナシ)
清矢と夜空の従弟。草笛雫の弟、総司(そうじ)の息子。白狼亜種。 清矢と同い年で、おかげでピアノ、ハープの練習も同量を課せられて大変。 一人称「おいら」「俺っち」。商会のボンボンを気取っている。 性格はチャキチャキしているが、祖父や父のしつけが厳しく、上下関係や礼節も重んじる。 高校では部活を始め、サックスを吹けるようになった。魔法も得意で、光以外の全属性が発動している。
草笛雫(くさぶえ・しずく)風・火・水・凍・闇・土(※光ナシ)
清矢と夜空の母で、源蔵の正室。銀狐亜種。 草笛宗旦(くさぶえ・そうたん)の長女で、総司の姉。 若くして肺病になり長期入院していた。当時夜空十一歳、清矢九歳。そのため、夜空の出奔を止めることができなかった。
陶春教育大学の音楽科出身。音楽魔術についての論文を書いていた。全属性を操ることができる、草笛氏の音楽術師として期待されていた人物で、風貌も美しいと評判。得意料理グラタン。
しかしお嬢様育ちだったために、姑のさくらとは気が合わなかったようだ。手弱女って感じの押しの弱い女。※若くして死亡させていましたが、存命に変更しました(2025-10-09)
草笛総司(くさぶえ・そうじ)
広大の父で、雫の弟にあたる。白狼亜種。草笛家当主として商会を切り盛りしている。 父より派手好きだが、それゆえに成金たちからの評判は良い。妻は清香(さやか)。
草笛宗旦(くさぶえ・そうたん)
雫と総司の父で、草笛家の前当主。白狼亜種。婿の源蔵を大事にしており、資金面での協力もしている。渋い趣味をもつ呉服商で、財界や政界の評価も高い人格者。陶春県の要人のひとりである。妻は銀狐亜種の雪乃。
祈月源蔵(きげつ・げんぞう)
白狼亜種。現在の白透光宮家(はくとうこうみやけ)(祈月家)の当主。 父が常春殿に見捨てられたために、神兵隊には入らず、士官学校を経て帝国軍に志願。 その後親友の関根信、張本忠義、もと鷹匠だった久緒宗光などとともに軍閥を形成。 しかし、呂壱剛毅(りょいつ・ごうき)の侵攻を退けてからは鷲津氏と対立し、陶春県の有力者である遠山高志(とおやま・たかし)参議に接近。大社跡の血戦で敗北を喫し、残存兵をまとめて私の軍閥化。以降は反鷲津勢力の雄となる。明叡二十八年(After Katastrophe 1269,アルカディア歴2627年)の生まれ。魔法に関しては最初鷲津に影響されて忌避感を持っていたが、「他国であって当然のものを使わないのは不自然」と前向きになった模様。
祈月(きげつ)さくら
白狼亜種。祈月家先代である耀の正妻。 現渚村村長である恵波氏からの輿入れで、耀の独身時代も裏稼業に協力していた。 耀と結婚して源蔵を設けたのちは、耀の不倫により不仲に。
耀頓死後は一人で祈月当主として源蔵を育ててきたが、彼に嫁いだ草笛雫とも不仲であった。孫の夜空を可愛がっていたが、彼もまた出奔。逆境にも負けず、強く生きている。
調理師免許を持っており、源蔵を育てている間に春宮にある料亭に勤めていたこともあり、料理はプロ級。今も春宮の役員として報酬をもらっている(不労所得)性格は頑固で厳格。地元では、長い受難の歴史を生き延びてきた証人として尊敬されている一方で、他人とうまくやれなかった自分を悔いている面もある。
祈月清矢(きげつ・せいや)
本作主人公。順和十一年(アルカディア歴2652,AK1293)生まれ。 白狼亜種。白透光宮家(はくとうこうみやけ)直系の祈月家の次男。母方の草笛氏の教育で、『子守歌』『癒しの旋律』『解呪曲』『退魔歌』などさまざまな音楽魔術を扱える。また常春殿神兵隊による剣術や国固有防衛術、魔法大による汎用系魔法の教育も受けている。性格は慎重で抜け目なく、たまに激高するが基本は冷静。しかし、情は深い。
祈月耀(きげつ・よう)
白狼亜種。祈月家先代であり初代。白透光宮家三代目、正徳の嫡男。しかし、姓を賜って庶人になった。『輝ける太陽の宮』という異名を持つ。
常春殿神兵隊特別兵として、天河重彦とともに明帝朝のためにさまざまな特殊任務を受けた。炎の術が得意で、白狼にもなれたという。女好きで、さくらと結婚後も浮名を流していた。常春殿の巫女だった森戸野菊とは子まで作ってしまい、最終的に彼女は父・正徳の妾という系図処理がなされた。常春殿に裏切られたことを恨んでおり、今も亡霊として成仏できていないらしい。性格は頑固だが軟派で明るく、しかし内心では不遇を憂いていた。
祈月夜空(きげつ・よぞら)
本作のもう一人の主人公。白狼亜種。白透光宮家(はくとうこうみやけ)直系の祈月家長男。清矢とは二歳差。守役だった夏目雅(なつめ・みやび)が殺されたため、十一歳でロンシャンに亡命した。
その後はゴールドベルク氏の庇護下におり、ロンシャンの義務教育を受ける。
性格は利発で親切で働き者。しかし、祖母に似て頑固もので、理不尽には黙っていられないところがあり、敵味方をよく区別する。抵抗できないと思うと卑屈になることもある
葛葉寛(くずのは・ひろし)
銀狐亜種。常春殿の術師で、神官。『日の輝巫女』こと千秋を魔物化した一族の末裔で、現在も『日の輝巫女』の管理維持を担う。しかし、実はそれを快く思っておらず、『日の輝巫女』討伐による解放を望んでいる心ある術師。
櫻庭詠(さくらば・よみ)※攻め1
清矢の親友、相棒、そして恋人。白透光宮家(はくとうこうみやけ)の祖、嘉徳親王(よしとくしんのう)の妹である、巫女桜花(おうか)が嫁いだ家柄の次男。兄は常春殿術師で、櫻庭優と言う。祈月家先代で横死した耀(よう)の活躍に小さいころから憧れている。性格は熱血で単純。男らしさにこだわる。
サニー・パガドーシュ・サチパス
陶春魔法大の学者。猿亜種。愛野京とともに着任した、グリーク魔法大出身の人物。専攻は世界樹魔術、錬金術。土属性の魔法。「命の花園の庭師」という二つ名をもつ。大学院はアルカディア魔法大錬金房なのだが、マッドっぷりに嫌気がさしていた模様。出身はインド。英語もアルカディア語も堪能で、清矢たちに語学を教える。このまま日本に帰化しようと思っているために、卒業した女学生に積極的なアプローチをしている。獣化コードには目を付けており、「ビースト」という汎用系魔法を開発しようとしている。
沢渡(さわたり)マルコ
陶春魔法大の学者。グリーク魔法大出身の人物で、狐亜種。黄金色の毛皮。 「術師同士は、一度相まみえたら戦うしかない」という激しいポリシーを持つ。 炎術や魔法戦術論を専門としており、魔力の高い清矢たちにまで熱心に術を仕込んでいる。日本の苗字を持っているが、これは留学生が帰国せずそのまま海外で働いてしまったため。マルコはその二世で、日本語ができるのもそのルーツによる。 学生時代は、ルーカス・エリスロプテロンという悪魔学の学者とバディを組んでいた。
菊池漣(きくち・れん)
猫村にある菊池神社に根を張る忍者集団・透波衆の次期棟梁。普段は、神社に神職として勤めている。クールな猫亜種で、清矢や広大の面倒もよく見ていた。陶春県にある白透光宮家の名前の由来の川、白透光の流れを愛している。水鏡など、水を使った忍術が得意である。
関根信(せきね・しん)聖単属性
祈月源蔵の親友であり、戦友。白狼亜種。武勇に優れる長身の人物。 寡黙で、義に反することを嫌う。 息子と娘がおり、それぞれ寛太(かんた)・銀花(ぎんか)という。 ちょうど清矢たちと年代が分かれてしまっているので、本作ではあまり活躍できない。
天河重彦(てんが・しげひこ)
至極殿から耀につけられた魔術師で、パートナー。当時から汎用系魔法を操る。 また、ハーモニカを用いた音曲魔術もすぐれている。 現在は稼業を引退し、松嶋市内で「天河楽器店」を営んでいる。 息子の泪(なみだ)を結城疾風の留学に付き合わせたが、グリーク魔法大修士修了後行方不明となってしまい頭をかかえている。娘は「すみれ」といい、もはや家を継がせる勢い。
夏目文香(なつめ・ふみか)
白狼亜種。夏目雅のひとり息子。大人しめの風貌だがけっこう気が強い。 御庭番衆のひとりで、白狼に転じる術を使える。 父の死については割り切っているが、形見の和歌集まで持ち去った夜空を嫌っている。 将来は父と同じような教師になるため、大学に進学して国文学を専攻するつもりでいる。
夏目雅(なつめ・みやび)
白狼亜種。白透光宮家御庭番衆の学者で、筆頭の家柄であった。 渚村で私塾を開いており、広い見識と人脈で尊敬されていた。火喜山の管理なども行っていた人物。
とくに夜空を主家の跡継ぎとして可愛がっていたが、三島宙明(みしま・ひろあき)に襲われ、呪殺されてしまった。源蔵が国軍に士官したことを疑問視しており、死ぬ前に夜空のロンシャン亡命を後押しした。
張本志弦(はりもと・しづる)
祈月源蔵の親友であり弟分の張本忠義(はりもと・ただよし)の娘。夜空と同い年。犬亜種。
小さいころは夜空の許嫁だと自負していたが、その気持ちが暴走し、夜空のロンシャンへの家宝持ち逃げに関与してしまった。その後は深く反省し、弓道をはじめる。美人だが、ボーイッシュ。魔法はあまり得意ではない(聖属性しか使えない)三つ年上の兄がいる。名前は弓弦(ゆづる)。
張本忠義(はりもと・ただよし)
祈月源蔵の親友であり弟分。犬亜種。武勇に優れる胆力のある人物。暴れ者の不良だったが、高校で源蔵と出会い、つるむようになった。
軽口や暴力でよく問題も起こす一方で、その発言は往々にして皆の本音であったりもする。妻は河口美沙(かわぐち・みさ)という。
久緒楓(ひさお・かえで)
陶春県の海軍大佐・久緒宗光氏の娘。結城疾風博士の許嫁だった。気骨ある娘で、夜空が出奔したのちに疾風の関与を批判。一時、縁談とりやめとなっている。
久緒氏はもと白透光宮家の御庭番衆であり、鷹匠だった。土着してからは海軍に出仕し、祖父・俊光の代に少将まで上り詰めた。しかし、祈月耀が誅殺されたおりに、『日の輝巫女』を鳥葬術で殺そうとしたが、返り討ちにあって殺されてしまった。そのため、『日の輝巫女』を深く憎み、討伐を望んでいる。
ベネディクト・リリー
ロンシャンアカデミー出身のプロテスタントの学者。鳥亜種。聖属性魔法と光属性魔法が専門。ロンシャンのロスト・リバティ戦線への兵役のがれで日本の大学に応募した。 現ゴールドベルク政権には批判的。 人格者で、誤射の危険性のあるような術は清矢には教えない分別をもっている。 リリー先生と呼ばれて親しまれている。
結城疾風(ゆうき・はやて)
祈月耀の弟、結城瑞樹の息子。つまり源蔵の年の離れた従弟。白狼亜種。
順和六年(アルカディア歴2647,After Katastrophe 1289)12歳でロンシャンに留学し、14年後博士号を取って帰ってきた。その後は陶春魔法大に教授として勤める。11歳の夜空を家宝ごとロンシャンに脱出させるというミスあり。のんびりした性格で、抜けたところも多い。属性は水、風、光を扱えるが、工学が専門だったために戦闘はあまり得意ではない。
綿貫才一(わたぬき・さいいち)
常春殿神兵隊長。白狼亜種。無限回復の術を使えるため、隊長を拝命している。 大らかな人物。
綿貫洋一(わたぬき・よういち)
綿貫才一の息子で、白狼亜種。自分も神兵隊長にならんと努力している。 清矢たちより五つ年上で、陶春魔法大に進学。剣技は若手一番との評判。
祈月軍閥の人物
伊藤敬文(いとう・けいぶん)※攻め2
犬亜種。黒い犬耳と巻いた尻尾をもつ。学歴は士官学校卒。
祈月軍の参謀のひとりで、悲観的なものの見方をするため、和睦のため鷲津に裏切ろうとしていた。しかし、魔法大学で説得され、清矢の魔法に勝機を見出したために残ることになった。参謀なのに剣技が達者で、剣気を操るのもうまい。またその後『ライトニングボルト(Lightning Bolt)』などの汎用系魔法も習得。家宝の剣は二振りあり、濁流剣(闇プラス水の属性魔法剣)、翠風剣(風属性魔法剣)。多分に清矢派で、若年の彼を戦に出した責任を贖罪するため尽くしまくる。大人×少年の年の差主従で溺愛庇護欲カップル。
北条直正(きたじょう・なおまさ)
猫亜種。祈月軍参謀のうち、東北方面の担当で皮肉屋。
西行英明(さいぎょう・ひであき)
狐亜種。祈月軍の参謀のうち、筆頭格でスポークスマン。かつては山城県で公安職をしていた。鷲津氏が第二の藤内となり、再び独裁に走ることを懸念している。
清矢のことは完全に駒としてみなしており、とくに持ち上げたりはしない。
鷲津軍の人物
澄名考(すみな・こう)
鷲津軍閥の参謀で、陶春県の調略を担当。十五歳の詠をハニートラップで捕まえ、裏切りを持ちかけた。
また、陶春魔法大学にも入り、夜空のロンシャン亡命の情報を得ている。
鷲津清隆(わしず・きよたか)
鷲津氏の現トップ。もともと朝廷の文官だった一族の出。鷲津氏は明叡元年(アルカディア歴2597年、After Katastrophe 1239)の永帝退位の記念事業『春夏秋冬の宴』を単なる奢侈だと批判した一族。また、魔術や呪術政策も批判しており、白透光宮季徳(はくとうこうみやすえとく)が推奨した汎用系魔法普及のための魔法大学設立にも反対をしていた。門閥に拠らない完全実力主義の世を標榜し、血統主義に陥りがちな魔術・呪術の隆盛に関しては兵器開発で対抗しようという考えを持っている。
- 順和四年(アルカディア歴2645,After Katastrophe 1287)
- 藤内大将軍排除の「淦呂の乱」に遠山高志参議の右腕として軍人として参加したのち、国軍内で勢力を拡大。祈月源蔵と知り合い、一時誼を通じる。
- 順和二十年(アルカディア歴2661,After Katastrophe 1303)
- 銀帝殺しの呂壱剛毅(りょいつ・ごうき)による陶春駐屯に祈月氏と同盟して援軍を出したが、裏では人質要求のために術師三島宙明(みしま・ひろあき)を派遣して脅していた。
- 順和二十二年(アルカディア歴2663,After Katastrophe 1305)
- ライバルの遠山高志参議と同調する祈月氏とも対立
- 順和二十六年(アルカディア歴2667,After Katastrophe 1309)
- 遠山高志参議を本拠地の陶春地方で破り(「旧海軍大社基地跡での血戦」)陸軍大将に就任。その後は国軍に軍事力を集中するため、地方軍閥解体を主張した。残存兵をかきあつめ私的軍閥を組織した祈月氏は討伐目標となる。しかし、恵安県から山城県に移動する祈月源蔵を追った「笠間橋の戦い」では汎用系魔法や呪術を用いた清矢たちに太刀打ちできず、惨敗を喫している。
清涼殿の人物
土御門隆明(つちみかど・たかあき)
土御門家現当主。松宵の夫で三島宙明の兄。白狐亜種。国家に信任される占い師だが、現在術師としての活動を表向きに行っておらず、薬剤師免許を取得して薬局「清明堂」を経営している。
永野松宵(ながの・まつよい)
渚村から魔力婚で土御門家という陰陽師の家柄に嫁いだ娘。白狼亜種で、隆明の妻。 夏目雅呪殺事件以降、気まずくて実家に顔を出せていない。清矢たちの事件の後、道時(みちとき)という男児を出産した。
三島宙明(みしま・ひろあき)
狐亜種。土御門家の人物(母方が三島氏)。安部帰明の妻として選定された吉田牡丹と密通したために、実家土御門家を勘当された。牡丹との結婚も許されず、野良の術師として金目当てで活動し、鷲津からの調略に利用されていた。『生類使役』や『呪殺』ができる恐ろしい術師。祈月氏と鷲津氏の同盟の際、人質として息子の夜空を連れ去るため、夏目雅の私塾を急襲。戦いとなり、夏目雅を呪殺してしまった。その時は証拠不十分により不起訴になったが、のち安部帰明に騙されて弟の清矢を鷲津氏に引き渡そうとして逆に返り討ちに合い、再度取り調べを受け殺人罪で逮捕された。
吉田牡丹(よしだ・ぼたん)
白狐亜種。もともと清涼殿の巫女で、安部帰明に嫁ぐべく、土御門家で修行していた。そこを次男の宙明と密通。齢十六という若さで子供までできてしまい、座敷牢に閉じ込められたまま零時を出産。悲惨な成り行きで発狂してしまい、長らく息子を息子だと認識できなかった。清矢たちの『癒しの音曲』で病状は好転。しかし、彼女の生涯で唯一美しい記憶は宙明との恋であり、安部帰明との結婚を阻んで清涼殿のD兵器のいけにえになろうとした。事件の後はさらに回復し、嫁いできた待宵の息子を子守りしたり、また旅行もできるようになった。
吉田真弓(よしだ・まゆみ)
土御門家の家令で、吉田牡丹の親戚。狐亜種で、術も扱える。
吉田零時(よしだ・れいじ)
白狐亜種。三島宙明と吉田牡丹の息子。どこか世をはかなんだ生真面目な少年。清矢・詠とは二歳差。本来、安部帰明に嫁ぐはずだった牡丹が宙明と密通した結果生まれた不義の子で、土御門家が養育している。三島宙明は牡丹との密通事件で土御門家を勘当になり、結局宙明も零時も母方の姓を名乗っている。出産後狂気に陥った母に関しては諦念を覚えていたが、甲斐甲斐しく世話をしていた。一方で、放蕩ものの父を憎んでいる。調略により、祈月氏と和解。安部帰明の助けを受け、陶春魔法大学に進学することになった。占いが得意。
月華神殿の人物
霧森昴(きりもり・すばる)
月華神殿神官長。見た目に反して、けっこう柔軟で話の通じる人物。 その職務から、日本一のソーサラー(魂魄術師)と言える。偽夜空の事件では、体当たりして敵を水牢に叩き落すというフィジカル面での好プレーも!
白菊(しらぎく)
月華神殿巫女長。月華神殿では月流(殺人術がベースの戦闘舞踊。退魔戦のための動きもある)と宙流(至極殿紫天宮のミクロコスモスをどっかの惑星に飛ばす浮遊の舞)の二流の女舞が伝わっている。月流のほうの師匠。白菊は号。白透光宮家の姫だった『薄雪』を尊敬しており、清矢たちにも親切。独身を貫いている。
望月充希(もちづき・みつき)
灰狼亜種。清矢・詠とは一歳上。望月家は白透光宮家のもつ『新月刀』と対の『満月刀』の所持を許されたかつての御庭番衆で東北方面を裁量していた。陶春県であった『旧海軍大社基地跡の血戦』で敗北した祈月氏の窮地を救うために、縁談をひっさげて参上する。『満月刀』のほかにも妖刀を携えており、剣術にも優れている。性格は柔和・好色・有能。父は智弘(ともひろ)。祈月耀とともに活躍した祖父は御剣(みつるぎ)といい、なんと存命。
望月瑠美奈(もちづき・るみな)
灰狼亜種。月華神殿に仕えていた巫女候補で、充希の妹。清矢の一歳下(充希と2歳違い)。勝気な性格。月華神殿の事件では、魔族だった偽夜空がたずさえていた『新月刀』をレプリカと見抜く活躍をみせた。
至極殿の人物
黒田錦(くろだ・にしき)
至極殿の副術師長。かなり不遜な人物だが、そのぶん面倒見がいいようだ。清矢を舎弟とみなしている。初登場時26歳と若いが、『退魔の夜』の術や汎用系闇属性終結形『ノクターガ』なども使える。清矢たちの先祖である『厳帝』(嘉徳親王や永帝の父帝)の父、星帝の血を引いている。
蘭堂宮冬真(らんどうのみや・とうま)
通称『冬宮』。二十七年前に父親である銀帝を当時の陸軍大将藤内に殺された壮年の宮。今は蘭堂宮家当主としてその命脈を保っている。二つ名のとおり、厳冬のように冷徹な印象を与える切れ長の目をしている。
現在の皇帝直属退魔軍総帥で、至極殿、常春殿、清涼殿、月華神殿、北方五稜郭の五軍を統括する男。お飾りかと思いきや政治的影響力は強い。祖先の『永帝』が清涼殿で魔物化していることを憂慮しており、討伐する意向。また、国軍の勢力争いに介入。『大社基地跡の血戦』で敗北してしまった祈月源蔵たちの軍閥と同盟した。その真意は、旧白透光宮家を抱きこんで国軍にまで自らの意向を届かせること。
皇統を退いたがゆえに、自らの家の汚点に決着をつけねばならない男。清矢を気に入っている。
蘭堂宮朱莉(らんどうのみや・あかり)
通称『姫宮』。蘭堂宮冬真の娘。清矢より二つ年下。小動物のようにつつましく、やや幼げな顔だちで、思春期らしく己の風貌に自信がない。中学に上がって帝都から月華神殿に修行に出ていたが、偽夜空事件後は帝都至極殿に戻る。冬宮の策略により皇太子に嫁ぐことになっていたものの、北陸、新鴻県では、現地の参議の息子・毛利諒(もうり・りょう)に心惹かれていた。
その他の人物
天川勇躬(あまかわ・いさみ)
帝国陸軍退魔科大佐。鳥亜種。二十年前アルカディアに杉浦さつきとともに留学した人物。『永帝』『日の輝巫女』など、権力をもった『D兵器(Damon Arms)』(魔物の兵器転用)を廃棄する考えでおり、また、国政安定の観点から祈月軍閥の退魔科コンバートを狙っている。