Filtering for "ファンタジー"

お題「記念写真」 「撮影」

お題「記念写真」 「撮影」

終わりの後の夜物語

 祈月氏の家宝を持ち逃げした夜空っていうやつのために、俺たち櫻庭詠(さくらば・よみ)と祈月清矢(きげつ・せいや)、そして望月充希(もちづき・みつき)はアルカディア魔法大に留学することになった。 地獄の受験勉強もひと段落して、今日はかの国に渡るための旅券を作成するために、証明写真 … ...

召しませ特製Energy Cell!

召しませ特製Energy Cell!

終わりの後の夜物語

 清矢くんが草笛家のピアノ部屋で楽譜みて唸ってる。 「えっ、ここも転回和音なのか? ったく、調性どれだよ~! 全然わかんねぇ」 しばらく鉛筆片手に楽譜とにらめっこしつつ、ところどころに英字記号を書き入れる。そして机に座ったまま肘をついて、前髪をぐしゃぐしゃ。雑誌の投稿欄読んでた … ...

常世の昼の春物語(第二話)相棒は俺にヒミツを許してくれない(2)

常世の昼の春物語(第二話)相棒は俺にヒミツを許してくれない(2)

終わりの後の夜物語

06 若人たちのつどい 翌日、清矢は小学校が終わると広大を誘って渚村の夏目私塾に寄った。広大も、昨夜の結城博士の訪問が気になっているらしい。夜空についての話があると言って、大分閑散としてしまった夏目家に入れてもらう。古狼の忘れ形見、三つ年上の文香が中学から帰ってくると、さっそく … ...

常世の昼の春物語(第二話)相棒は俺にヒミツを許してくれない(1)

常世の昼の春物語(第二話)相棒は俺にヒミツを許してくれない(1)

終わりの後の夜物語

1 夏目雅呪殺事件 三年前、陶春県汐満市渚村。八月某日。村の中央会館にて、とある人物の葬式が行われていた。永劫の帝こと『永帝』を歓待するために、たった十二日間で季節の風流を味わいつくした『春夏秋冬の宴』以来、この地に根付いて村人の教育に従事してきた学者一族、夏目雅の告別式であ … ...

お題「鼻歌」 「小さな幸せ」

お題「鼻歌」 「小さな幸せ」

終わりの後の夜物語

 俺は夏が好き。冷え性で冬は末端が冷えるから。風属性塔のサロンでそう言ったらルームメイトの充希は反論した。 「えー、清矢くんに似合う季節って冬じゃない。夏男は俺でしょ? 海辺のアバンチュール、階段でかじるオレンジだよ」 「冷たい性格とかそういう俺への間違ったイメージじゃねぇだろう … ...

直情お人よしオオカミは同い年の幼なじみに心身甘やかされてますっ!

直情お人よしオオカミは同い年の幼なじみに心身甘やかされてますっ!

終わりの後の夜物語

 同室の黒須イアソン先輩が風邪で熱なんか出したので、俺が寮の仕事を代わってあげることになって。五時に起きてカセラドルに集合したらそこにいたのはサボリに厳しいウィリアム・エヴァ・マリーベル。何でイアソンが来ないって難癖から始まって、冷や汗かいて説明してから、たっぷり一時間かけて聖堂 … ...

常世の昼の春物語(第一話)俺はホントは白いオオカミ

常世の昼の春物語(第一話)俺はホントは白いオオカミ

終わりの後の夜物語

 俺の世界が広がったのは、十一歳のときだった。 新しく神兵隊に入ってきたその子は、当時からまっこと綺麗な男だった。 1 不思議になつかしいあの音 日ノ本の春は桜舞い散る典雅な季節である。ことに、常春殿地方ではヤマザクラやソメイヨシノの錦模様が爛漫と輝き、うすくれないの花弁が雲 … ...

お題「クリスマス・イヴ」「ケーキ」

お題「クリスマス・イヴ」「ケーキ」

終わりの後の夜物語

 アルカディア魔法大学はクリスマス休暇だ。俺たち極東からの入学生は、たった一か月半の休み程度で日ノ本に帰るわけにはいかないから、居残り組に入っている。だけど世話になってる黒須先生とその息子さんのイアソンは帰るっていうんで、俺は堂々と恋人の詠の部屋に入り浸ることができていた。聖属性 … ...

お題「照れ隠し」「かじかむ指先」

お題「照れ隠し」「かじかむ指先」

終わりの後の夜物語

 クリスマス休暇が始まった。全寮制かつグローバル規模のアルカディア魔法大学では、一ヶ月程度の休みでは里帰りには充分でなく、とくにアジア圏の学生たちにとっては、聖属性塔カセラドルで行われるミサに参加し、故郷へ手紙を送る程度が関の山で、中には直後に迫った卒論の締め切りや、テストに備え … ...