#[創作BL版深夜の60分一本勝負] #ComingOutofMagicianYozora #詠×清矢 お題「眼鏡」「意外」櫻庭詠(さくらば・よみ)×祈月清矢(きげつ・せいや)
その時の俺の内心は「何故」「可愛いんだが」「詠×メガネで好き×好きの無限大」「詠視力悪くなったのか?」「メガネっこサイコー!」と風雲急を告げていた。黒ぶちの角ばったオサレメガネを装備した詠は俺の方を振り返って、ニッと得意気に笑った。いかんいかんぞけしからん、世界が恋に落ちてしまう!
俺こと祈月清矢は何を隠そうメガネっこ好きだ。詠以外に告白されたことのある素敵な女の子がメガネだった影響もあるのかもしれない。メガネの「世の中のあらゆるチャラからは身を守ります」っていう無駄な防御力、醸し出される真面目キャラ、外したときの「本当のアタシ」感、視力よくないっていう若干の守ってあげたくなる度、ともかくフェチとして完璧だと思うんだよな俺は! 木曜日の「アーカイビング実習」に現れた詠はあざとく俺の興味をかっさらった。
「どう? 清矢くん。俺賢そうに見える?」
詠はハタハタと尾っぽを振りながら得意気にブリッジをくいっと上げる。飾り気のない短髪に人懐こそうなくりくりした瞳の愛すべき詠。俺はやにさがってしまうのもこらえてとなりの席に座った。
「詠、視力悪りーの? なんか気づいてやれなくてゴメンな」
詠はそれを聞くと頬をふくらませてニヤニヤ笑いを強くした。
「へへ。伊達メガネだって~! 清矢くんメガネ好きだろ、だから俺もイメチェンでかけてみようと思って……」
「よ、詠……!」
俺の恋人はなんて可愛いっ! その場でギュッと抱きしめたくなったがエミーリアもドリスも充希もいるからやめといた。シオン先生がやってきて本日の「アーカイビング実習」座学が始まる。古くてきったない魔導書の切れ端なんかを訳してく地道な作業に涙が出そうだが、メガネ装備の詠は心なしか立派な学徒に見えた。
授業が終わって俺はソッコーで詠を寮部屋に連れ込んだ。ベッドに座らせて両肩をがしっと掴む。
「詠っ、俺な、俺……実はメガネフェチなんだ。そんで『キスのときも取らない』派閥なんだっ……! 頼む、俺に夢をかなえるチャンスをくれっ……!」
いつもは詠がワンコっぽくおねだりばっかりなのに、俺は身も世も捨ててマジ顔で頼み込んだ。詠はこくんとうなずいてレンズの奥のまぶたを閉じる。俺はドキドキしながら顔を近づける……! 思った通りメガネが邪魔でまつ毛にかすっちまう。俺は弦をつまんで、ちょっとズラして鼻と鼻をくっつける。マジで夢見たとおりの仕草だっ……! ぎゅうっと抱きすくめてそのままベッドに押し倒すと詠がちょっと焦った。
「清矢くん、何コーフンしてんだよ~! やっぱメガネ取ろーぜ、邪魔だよこれ」
「だ、ダメだっ! メガネは乱れてこそ花! 取るなんてとんでもねーよ!」
「ヤダよ、壊れちまうじゃん! このまんまエッチすんの……? な、なんかヘンタイくせーな」
「いまさら何言うんだよっ♥ なー詠、一生の願いだ! メガネっ子との妄想叶えさせてくれよぉおお!」
「んー、じゃあフルコースでお願いな。俺溜まってるから……入れさせて……くれるよな?」
「もちろんオールオッケー!! その代わり絶対はずすなよ! メガネが本体っ!」
俺は勇んでジャケットとシャツを脱ぎ去り、もったいつけてそう簡単にはヤラせない普段とは別人のように鼻息荒く詠を襲い始めた。ずれたメガネ越しにあえぐ詠はサイコーに可愛かったね。思わず新しい境地に目覚めそうになっちまった。やりたがりの詠は翌日もメガネかけてくるかと思ったけど、調練場で元気に跳ねながらバッチリ裸眼だった。
「なぁ詠ー、今日はメガネじゃないのか?」
「さすがにメガネが本体っていうのはなくね……? たまの楽しみってことで」
「何でだよぉお! 俺に毎日トキメキをくれよ!」
「だって俺運動するしキスもしづらいもん……」
詠はそう言って俺の腰を抱き寄せ、キスに及びそうになったが俺は両手でブロックした。
「何往来でことに及ぼうとしてるんだよ」
「清矢くん、ここは流されるシーンだろ? メガネかけてたらオッケーだったのか?」
「うん。メガネっこのすることなら何でもオッケー」
「それって俺よりメガネが好きってこと……」
「まぁ当然だろ。対清矢サマの強烈なバフだよメガネは!」
そう本音を告げてしまうと詠はふくれて俺を離した。
「……もう二度とかけねえ」
「えーっフェチなんてそんなもんだろ! お願いだよ詠~! まだ俺の最高のエロ展開コンプリートしてないじゃん!」
「ダメっ、ダメだ。俺の清矢が歪んじまう!」
「厳しいママかよお前は! もう歪み切ってるからー! な、お願い! メガネ男子のシチュだけでも俺何通りも考えられるから!」
「じゃあ俺のお願いも聞いてくれる? 今日も山小屋行って二人っきりでしたい」
俺は上目遣いの詠に問われて思わずうなずいてしまった。ダメだねー男のフェチは即物的だよ。これからしばらく俺の腰大丈夫かな? 普段と立場が逆転しちまったけど、満身創痍でも俺は叫べるぜ。『メガネかけた詠サイコー!』ってな。(了)
お題「眼鏡」「意外」櫻庭詠(さくらば・よみ)×祈月清矢(きげつ・せいや)
その時の俺の内心は「何故」「可愛いんだが」「詠×メガネで好き×好きの無限大」「詠視力悪くなったのか?」「メガネっこサイコー!」と風雲急を告げていた。黒ぶちの角ばったオサレメガネを装備した詠は俺の方を振り返って、ニッと得意気に笑った。いかんいかんぞけしからん、世界が恋に落ちてしまう!
俺こと祈月清矢は何を隠そうメガネっこ好きだ。詠以外に告白されたことのある素敵な女の子がメガネだった影響もあるのかもしれない。メガネの「世の中のあらゆるチャラからは身を守ります」っていう無駄な防御力、醸し出される真面目キャラ、外したときの「本当のアタシ」感、視力よくないっていう若干の守ってあげたくなる度、ともかくフェチとして完璧だと思うんだよな俺は! 木曜日の「アーカイビング実習」に現れた詠はあざとく俺の興味をかっさらった。
「どう? 清矢くん。俺賢そうに見える?」
詠はハタハタと尾っぽを振りながら得意気にブリッジをくいっと上げる。飾り気のない短髪に人懐こそうなくりくりした瞳の愛すべき詠。俺はやにさがってしまうのもこらえてとなりの席に座った。
「詠、視力悪りーの? なんか気づいてやれなくてゴメンな」
詠はそれを聞くと頬をふくらませてニヤニヤ笑いを強くした。
「へへ。伊達メガネだって~! 清矢くんメガネ好きだろ、だから俺もイメチェンでかけてみようと思って……」
「よ、詠……!」
俺の恋人はなんて可愛いっ! その場でギュッと抱きしめたくなったがエミーリアもドリスも充希もいるからやめといた。シオン先生がやってきて本日の「アーカイビング実習」座学が始まる。古くてきったない魔導書の切れ端なんかを訳してく地道な作業に涙が出そうだが、メガネ装備の詠は心なしか立派な学徒に見えた。
授業が終わって俺はソッコーで詠を寮部屋に連れ込んだ。ベッドに座らせて両肩をがしっと掴む。
「詠っ、俺な、俺……実はメガネフェチなんだ。そんで『キスのときも取らない』派閥なんだっ……! 頼む、俺に夢をかなえるチャンスをくれっ……!」
いつもは詠がワンコっぽくおねだりばっかりなのに、俺は身も世も捨ててマジ顔で頼み込んだ。詠はこくんとうなずいてレンズの奥のまぶたを閉じる。俺はドキドキしながら顔を近づける……! 思った通りメガネが邪魔でまつ毛にかすっちまう。俺は弦をつまんで、ちょっとズラして鼻と鼻をくっつける。マジで夢見たとおりの仕草だっ……! ぎゅうっと抱きすくめてそのままベッドに押し倒すと詠がちょっと焦った。
「清矢くん、何コーフンしてんだよ~! やっぱメガネ取ろーぜ、邪魔だよこれ」
「だ、ダメだっ! メガネは乱れてこそ花! 取るなんてとんでもねーよ!」
「ヤダよ、壊れちまうじゃん! このまんまエッチすんの……? な、なんかヘンタイくせーな」
「いまさら何言うんだよっ♥ なー詠、一生の願いだ! メガネっ子との妄想叶えさせてくれよぉおお!」
「んー、じゃあフルコースでお願いな。俺溜まってるから……入れさせて……くれるよな?」
「もちろんオールオッケー!! その代わり絶対はずすなよ! メガネが本体っ!」
俺は勇んでジャケットとシャツを脱ぎ去り、もったいつけてそう簡単にはヤラせない普段とは別人のように鼻息荒く詠を襲い始めた。ずれたメガネ越しにあえぐ詠はサイコーに可愛かったね。思わず新しい境地に目覚めそうになっちまった。やりたがりの詠は翌日もメガネかけてくるかと思ったけど、調練場で元気に跳ねながらバッチリ裸眼だった。
「なぁ詠ー、今日はメガネじゃないのか?」
「さすがにメガネが本体っていうのはなくね……? たまの楽しみってことで」
「何でだよぉお! 俺に毎日トキメキをくれよ!」
「だって俺運動するしキスもしづらいもん……」
詠はそう言って俺の腰を抱き寄せ、キスに及びそうになったが俺は両手でブロックした。
「何往来でことに及ぼうとしてるんだよ」
「清矢くん、ここは流されるシーンだろ? メガネかけてたらオッケーだったのか?」
「うん。メガネっこのすることなら何でもオッケー」
「それって俺よりメガネが好きってこと……」
「まぁ当然だろ。対清矢サマの強烈なバフだよメガネは!」
そう本音を告げてしまうと詠はふくれて俺を離した。
「……もう二度とかけねえ」
「えーっフェチなんてそんなもんだろ! お願いだよ詠~! まだ俺の最高のエロ展開コンプリートしてないじゃん!」
「ダメっ、ダメだ。俺の清矢が歪んじまう!」
「厳しいママかよお前は! もう歪み切ってるからー! な、お願い! メガネ男子のシチュだけでも俺何通りも考えられるから!」
「じゃあ俺のお願いも聞いてくれる? 今日も山小屋行って二人っきりでしたい」
俺は上目遣いの詠に問われて思わずうなずいてしまった。ダメだねー男のフェチは即物的だよ。これからしばらく俺の腰大丈夫かな? 普段と立場が逆転しちまったけど、満身創痍でも俺は叫べるぜ。『メガネかけた詠サイコー!』ってな。(了)