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あおうま
#[創作BL版深夜の60分一本勝負] #詠×清矢 #ComingOutofMagicianYozora

お題「夏の風物詩」

 長い水平線を望むビーチに、シートを引いて水着姿の人々がごろごろと横たわっている。
 みんなサンタンスキンを手に入れようと、のんびり体を焦がしているのだ。
 べつに焼けたくない俺は借りたビーチパラソルの下でサングラスをかけなおし、あくびをした。
 アルカディア魔法大学にやってきてから三度目の夏である。今年は日本に居座らず、早めにこの国に戻ってきた。
 充希はヨーロッパ旅行に出てしまっててまだ合流してない。波打ち際で遊んでた詠(よみ)が、手を振ってくる。
「せいやくん! なぁ、一緒に泳ごうぜ! ブイまで行ってみようよ!」
 俺はラッシュガードを脱ぎ捨てて、無邪気な笑顔の詠のほうへ歩き出した。詠の肌は今日の海遊びでちょっと日焼けして、波に濡れて光ってる。剣士らしく肩の筋肉が盛り上がり、割れた腹やむっちりした胸、太ももまでバッチリさらけ出したサービス満点の水着姿だ。波打ち際で気前いい半裸のにーちゃんがキラキラ笑う姿に、俺は一瞬クラっと来た。
 下心を隠しもせずに微笑んで、水向ける。
「詠、なぁ、ちょっと浜辺で休まねぇ? お前ずっと泳いでただろ?」
「別に疲れてねぇし。なあ、一緒に競争しようよ」
 二十歳も過ぎたってのに詠は元気で無邪気だ。俺は苦笑しながら詠をじっくり眺めてた。いやぁ、ケモミミもぴょこぴょこしてるし、くっきり二重の精力的なお顔は全力笑顔。振られてるしっぽは濡れて細くなってる。俺の恋人はカワイイねぇ。
 箱入りの俺はゴーグルないんだよなとか思いつつ、詠とともに沖合へ駆けてった。押しかけてくる波に逆らいつつ、ストイックに泳いでく。ブイのそばで立ち泳ぎしながら、笑い合って浜辺までターン。足の裏を波にまかれてく砂の感覚にぞわぞわしつつ、戻ってドリンク飲んだ。詠はタオルで体を拭こうとする。俺はそれをちょっと押しとどめて、ふんわりした胸のなだらかな山をぺろっと舐めた。海の塩味が強烈だ。
「せ、清矢っ! 何やってんだよ!」
「んー? 詠が見せびらかしてくるから、味見♥」
 詠は照れたのか、ちょっと体をねじって避けて、俺の頭を押さえつけ、熱くキスしてきた。唾液の甘い味。この後は夕暮れに、オーシャンビューのバーで海鮮食べながらの乾杯までがセットなんだ。火照る身体もてあましながら、俺たちは夏を満喫中だった。(了)