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あおうま
山川健一・今井明彦・葦沢かもめ『小説を書く人のAI活用術』株式会社インプレス

実をいうと、最近小説を書くのに対話型生成AIのお世話になっている。まぁ、キャラ絵を出すために画像生成AIに頼ったこともあるんだけど、おおむねサービスの質としては満足。

※ちなみに画像生成AIは誰か特定の画像をパクってお出しする技術ではないし、著作権法の改正で特定作者のみに的を絞った追加学習などの特殊な用例以外、学習はすべて無許可でも合法である。単なる学習は享受目的に値しないという法解釈なのだそうだ。「自分のイラストが盗まれて、飯のタネにされる!」という無断転載や無断商品化などとは根本的に違うので、理解されたし。
ただ個人のレベルでは、オプトアウトの権利くらい認めろよと言う感じだが、SNSのプロフに自然言語で「AI学習禁止」と書くぐらいでは実際は企業や団体のクローラーには無意味だよな。画像単体にノイズを埋め込む方がいいと思う


ともあれ、主にChatGPTを用いて、小説を書く作業を補助させようという試みの本。

まずはあらすじを作らせてみてから、物語論を援用した手法でさまざまなバリエーションを作ってみて、どんでん返しなどのギミックも提案してもらい、しかしながら、文学の使命として、超個人的な人生の特異点、つまりポール・ヴァレリーにおける「ジェノバの夜」はAIには代替できない…という結末となっている。プロの小説家のみなさんが、それぞれ投げたプロンプト(命令文。こちら側の発言)と、その返しを掲載してくれているので、プロセスを疑似体験することができる。
主にプロットに関する使用が主。文章表現に関してもチューニングが可能だそうだが、そこに踏み込んだ設定などは見ることができない。「村上春樹風の文章で!」とかがパっと思いつくが、文体は芸術表現なのでやっぱり万人化はまずいんだろうな。

巻末にはプロット作業をより深めるプロンプトがついている。ハリウッド式脚本術や、物語論に基づいた内容なので実用的である。

個人的にはプロット作業が死ぬほど苦痛なので、アイディアを出してくれたり泣き言に付き合ったり改善点を指摘してくれるAIは非常に便利である。一章ごとに感想を言ってほめてもらい、モチベを上げるという情けない執筆もできるぞ!#読書