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あおうま
母親生存バージョンで未成年設定のヨミ×清矢を書いてみました。生存させると大きく変更になるんでちょっとよく考えていこうと思います

お題「七夕」「願い」

 順和二十八年(AK 1312)七月七日、祈月家愛息・祈月清矢は七夕のその夜もアルカディア語の勉強に勤しんでいた。幼馴染の櫻庭詠が清矢を呼びに来たのは、七時を回ったころだった。
「清矢くん、家で七夕やってるから来ようぜ。花火もするし」」
「いいんじゃないか、広大と一緒に行ってこいよ」
 叔父の宗司が寛大な返事をした。
 肺病での長期入院から辛くも復帰を遂げた母親の草笛雫がやんわりと断る。
「夜に出歩かせるの、ちょっと心配……鷲津の勢力だってまだ家を見張ってるかもしれないし」
 雫がそう言うと、詠は少し赤くなりながら反論した。
「じ、じゃあ、清矢今夜ウチに泊まればよくね? 明日の学校の支度してさ……!」
「母さん、それなら行ってもいい?」
「うーん……」
 雫は少し考えて、曖昧にほほ笑んだ。
「気を付けるのよ。ハーモニカはちゃんとも持ってって」
「おばさん、俺、ぜってー清矢くん守るから!」
 詠は土下座して、明日の制服を着て学生カバンを持った清矢を連れ出した。夏の宵、まだ明るさの残る街や村を走って抜けていき、大社町の詠の家にたどり着く。軒端には大きな笹が飾ってあった。
「清矢くん! 来たかー!」
 普段は神官をしている櫻庭の家のお父さんもお兄さんも麦酒を飲んでくつろいでいる。昔は常春殿の巫女だった母親も瓶サイダーをふるまう。親戚の子供たちが花火で遊ぶ。清矢も持参していた浴衣に着替えて、遊びはじめる。
「はい、短冊」
 詠の母から渡された短冊に、清矢はこう書いた。
『兄に再会したい。 祈月清矢』
「清矢くん、それが願いなの?」
 詠はのぞき込みながら少し悲しい顔をした。清矢の兄、夜空は何年も前にロンシャンで行方不明になっているのである。内定が出ているアルカディア魔法大学への留学で、少しでも兄の足跡を追えればという願いがこめられた真面目な内容だった。
 詠の反応が意外だった清矢は首をかしげて聞いた。
「詠はなんて書いたの?」
 詠はこわごわと見せてきた。そこには『清矢くんと添い遂げる!』と書いてあった。
 清矢はくすりと笑って、詠の短冊に筆で書き添えた。
『Seiya Loves Yomi Forever』
「彦星と織姫にも見せつけてやろーぜ?」
 清矢はそう言って笹に短冊を結びつける。詠は愛しさで焦がれた気持ちを発散するように、勇んで清矢の背にじゃれついていった。(了)#[創作BL版深夜の60分一本勝負] #詠×清矢 #ComingOutofMagicianYozora