あおうま
江國香織『間宮兄弟』小学館 2004年
けっして器用なタイプではない間宮明信と徹信の兄弟は、父親が亡くなって以来、ふたり暮らしをしている。仲睦まじいふたりの生活は穏やかで日々のささいな幸せに満ちている。そんな二人が求めているのは女性との付き合い。レンタルビデオ屋の大学生や、職場である小学校の美人教諭。平和な日々を抜け出し、恋を求める彼らに、成就はおとずれるのか。
あきらかにホモソーシャルの話なので、恋愛は成就しない。日々のディテールが積み上げられ、その中でけっして扇情的ではない兄弟の姿がありありと浮かび上がる。面白いのは、登場する女性がまったく兄弟を恋愛対象とみなさないことである。彼女たちにとっては結局男というのは恋愛幻想を満足させるにふさわしい性的魅力をもつ生き物でしかないから。だから誰とも結ばれなくてよかったのである。彼女たちの男は表層的で、別に本当に何でもないんだけど。でも兄弟には性的魅力がまったくないししょうがないね、って感じの作者の態度でもある。女性に対するアプローチも弱男が馬鹿にされがちな一方的でキモイ定型だし。
ネットの弱男叩きって、たしかに暴力性まで帯びるから厄介とは思うんだけど、なんかどうなんだろうね? 弱女叩きをおなじ筆致でやったら超炎上する気がする。っていう風に思った。
けっして器用なタイプではない間宮明信と徹信の兄弟は、父親が亡くなって以来、ふたり暮らしをしている。仲睦まじいふたりの生活は穏やかで日々のささいな幸せに満ちている。そんな二人が求めているのは女性との付き合い。レンタルビデオ屋の大学生や、職場である小学校の美人教諭。平和な日々を抜け出し、恋を求める彼らに、成就はおとずれるのか。
あきらかにホモソーシャルの話なので、恋愛は成就しない。日々のディテールが積み上げられ、その中でけっして扇情的ではない兄弟の姿がありありと浮かび上がる。面白いのは、登場する女性がまったく兄弟を恋愛対象とみなさないことである。彼女たちにとっては結局男というのは恋愛幻想を満足させるにふさわしい性的魅力をもつ生き物でしかないから。だから誰とも結ばれなくてよかったのである。彼女たちの男は表層的で、別に本当に何でもないんだけど。でも兄弟には性的魅力がまったくないししょうがないね、って感じの作者の態度でもある。女性に対するアプローチも弱男が馬鹿にされがちな一方的でキモイ定型だし。
ネットの弱男叩きって、たしかに暴力性まで帯びるから厄介とは思うんだけど、なんかどうなんだろうね? 弱女叩きをおなじ筆致でやったら超炎上する気がする。っていう風に思った。