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あおうま
小川一水『ツインスター・サイクロン・ランナウェイ』ハヤカワ文庫JA 2020年

超おもしろかったがちょっと待ってくれ。要約するのがキツイwww
作者のヘキである宇宙世紀ものである。そこに百合トッピング、って感じ。

西暦では八千年代、人類は太陽系をすでに脱出し、二つ目の新星系に移行していた。かれらは周回者を自称し、資源不足にあえぎつつも彼らにとっては最古ともいえる人類の精神的慣習を維持していた。つまり、家父長制と男尊女卑。資源については、昏魚とよばれる大気圏中を遊泳する魚を獲ることでなんとか母艦との交易を成立させている状況である。そんな限られた世界に生きる独身女性テラは、自身の漁猟と生活のパートナーとなる男性を探していたが、彼女の並外れた漁網成型能力についていける男はおらず、焦る日々を過ごしていた。二年に一度の『大会議』、民にとっては氏族同士の交流の機会であり、お見合いのとき。しかし今回も結果ははかばかしくなかった。その『大会議』が終わり、すべての氏族舟がふたたび分離する夜。テラは女ながら艦の操縦士としての腕をもつ別氏族の少女、ダイオードに出会うのだった。

そんな設定がいろいろくっついているけど、百合ップルの成立がもどかしくて可愛くて悶える。
私的感情をもたないに近い男主人公だった『時砂の王』よりはるかに面白い。
ラストの口喧嘩の果ての「ごほうびあげます」が萌えすぎて……あのー……まぁ分かってたんですけど。あと、人間の精神に観応してどんな形にもなる粘土っていう設定が夢ありすぎる。「ふねのかたちを、おもいのままに」。そのままで行けば設定の積み重ねが大きすぎておいてきぼりになるのに、主人公たちは人類の古い慣習に苦しめられているので、共感などもある。

そんなこんなで二巻に続きます。わはー。