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あおうま
江國香織著『号泣する準備はできていた」新潮社 二〇〇三年

短編集なんですが、ほとんど不倫の話です……。
良いと思ったのは「じゃこじゃこのビスケット」「熱帯夜」くらいかな……。
「じゃこじゃこのビスケット」は十七歳のさえない娘がさえない男と海に行ってつまんないデートする話。このパっとしなさがいとおしい。「熱帯夜」はレズカップルの絶頂期になじみのバーで飲んだあとイチャつく話。どっちも不倫じゃない。
あとは不倫願望も入れるとほぼ全部不倫の話。どんなに美々しく書かれてもちょっと乗れない。恋愛の段階なんか語られず、たいてい動物的に惹かれてるだけだから感情移入もむずかしい。
べつに不倫自体は読めないわけじゃないんだよ。ただ短編集の八割九割が不倫ネタっていうのはどうなの?
文章も読みやすいけどなんだかすべてが書割のよう。それがいいのかもしれないが……。
あんまり面白くはありませんでした。