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あおうま
長野まゆみ著『ゴッホの犬と耳とひまわり』 講談社 二〇二二年

とある豪商がフランスから持ち帰った一八八〇年代の帳簿には、Vincent van Goghの署名があった。本物の書簡かそれとも贋作か。
河島教授から翻訳を頼まれた小椋は、ためらいつつも依頼を引き受ける。真贋の謎は幼い頃父が読み聞かせてくれた絵本や上海租界、フランス本国へと深遠につながっていく。

少年愛ものが多かった著者の作品だが最近のは現代のも多いらしい。ゴッホの真偽から、知人の伝手をたどってひとつの近代家族史が描かれていく。
どれが誰の親戚だったかわからなくなってくる。謎解きは安楽椅子探偵的で、蘊蓄も豊富。ペダンティズムに酔いたいなら。#読書