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詠ちゃんのキャラ設定。
☆櫻庭・詠(さくらば・よみ)軍人短髪(しゃらーんと涼やか短髪)白狼
(魔法学〔聖〕、国際魔法軍事学、SacridWizard)攻め1
Guardian of spring
BGM:Tommy heavenly6 - pray
属性:闇・火★・聖・月
(本性属性火)
19歳入学→23歳卒業(日の輝巫女討伐)→予備役→皇帝直属退魔軍
・天蠍宮 10/27生 Scorpion the eighth astrological sign in the zodiac
・装備:天山魔法大学ロッド、耀の剣(黒耀剣)、神兵隊の剣、神兵隊黒装束
・テレパス強度・中
櫻庭氏の神兵隊所属の出世頭だが次男なので清矢に付けられた。夜空とは二歳差。清矢と同い年。きりりとした二重でまっすぐな目つきの日本男児美少年。よく鍛えていてがっちり系。右ケモノ耳に常春殿のものである証拠の鈴をつけている。常春殿および天山魔法大学での英才教育を受け、魔力選抜十二位で入学。常春殿神兵から帝国陸軍へのコンバート志望(軍人)。性格は堅物・熱血・純朴。常春殿で拷問訓練・術師としての素養・耀の術の継承・教育などを受けたうえで入学。最終階級は陸軍退魔軍中尉。一人称「俺」。へたれ攻めチックだが清矢に最も愛されておりたまーに頼れる男ぶりを披露。「清矢くん」呼び。
「ここが最初の防衛ライン!櫻庭詠、推参!」「散り急ぐな(C1)」「決める!(C4)→静粛に(C4)」「好敵手!(C6)」「男・気・全・開!/ここは絶対防衛圏!(Kill move)」「この櫻庭詠、最初に男気を見せましょう!」「月光凝集→必中!」「日光凝集→投擲!」「球雷直進! ダークサンダー!」
「清矢くん」「充希」「夜空」「ウィル・マリーベル」
恋愛時:「清矢くんへ捧ぐ煉獄のラブファイアー! ああ切なきこの想い」「上手く誘って」「俺のこと『カレシ』にしてほしい」「じゃあエッチしちゃダメって言うの?!」「清矢くん、俺を見ててくれ!」「俺清矢くんの担当、公式だから!」「清矢くんは俺の」「同じ気持ちだと思ってた……!」
剣技:A
固有術:常春殿式退魔術(Master : Yu Sakuraba)
#オリキャラ設定 #ComingOutofMagicianYozora #詠×清矢
☆櫻庭・詠(さくらば・よみ)軍人短髪(しゃらーんと涼やか短髪)白狼
(魔法学〔聖〕、国際魔法軍事学、SacridWizard)攻め1
Guardian of spring
BGM:Tommy heavenly6 - pray
属性:闇・火★・聖・月
(本性属性火)
19歳入学→23歳卒業(日の輝巫女討伐)→予備役→皇帝直属退魔軍
・天蠍宮 10/27生 Scorpion the eighth astrological sign in the zodiac
・装備:天山魔法大学ロッド、耀の剣(黒耀剣)、神兵隊の剣、神兵隊黒装束
・テレパス強度・中
櫻庭氏の神兵隊所属の出世頭だが次男なので清矢に付けられた。夜空とは二歳差。清矢と同い年。きりりとした二重でまっすぐな目つきの日本男児美少年。よく鍛えていてがっちり系。右ケモノ耳に常春殿のものである証拠の鈴をつけている。常春殿および天山魔法大学での英才教育を受け、魔力選抜十二位で入学。常春殿神兵から帝国陸軍へのコンバート志望(軍人)。性格は堅物・熱血・純朴。常春殿で拷問訓練・術師としての素養・耀の術の継承・教育などを受けたうえで入学。最終階級は陸軍退魔軍中尉。一人称「俺」。へたれ攻めチックだが清矢に最も愛されておりたまーに頼れる男ぶりを披露。「清矢くん」呼び。
「ここが最初の防衛ライン!櫻庭詠、推参!」「散り急ぐな(C1)」「決める!(C4)→静粛に(C4)」「好敵手!(C6)」「男・気・全・開!/ここは絶対防衛圏!(Kill move)」「この櫻庭詠、最初に男気を見せましょう!」「月光凝集→必中!」「日光凝集→投擲!」「球雷直進! ダークサンダー!」
「清矢くん」「充希」「夜空」「ウィル・マリーベル」
恋愛時:「清矢くんへ捧ぐ煉獄のラブファイアー! ああ切なきこの想い」「上手く誘って」「俺のこと『カレシ』にしてほしい」「じゃあエッチしちゃダメって言うの?!」「清矢くん、俺を見ててくれ!」「俺清矢くんの担当、公式だから!」「清矢くんは俺の」「同じ気持ちだと思ってた……!」
剣技:A
固有術:常春殿式退魔術(Master : Yu Sakuraba)
#オリキャラ設定 #ComingOutofMagicianYozora #詠×清矢
キャラ設定をいい加減に追加しとこうと思います。まずは清矢くんから。
★祈月清矢 白狼・黒髪ニュアンスレイヤーショート・曇り水晶(スモーキークォーツ)の雫譲りの瞳・身長 176cm(69.29inch) クーデレ女王様受け
Seiya Kigetsu (Sacred arrow of Kigetsu),NewMoon
属性:聖・光・風(天空)・水(本性属性光)かに座 The Canser or The Crab 4th zodiac Sign 7/10生まれ
・テレパス強度・中
・紋章入りマンゴーシュと片手剣、天山魔法大学ロッド、賢人機関(会員)ロッド、祈月当主戦装束、軍用ハーモニカ &ハープ(Japanese Army Equipment)
・BGM:東京事変「遭難」スピッツ「ルキンフォー」
夜空の弟。本作主人公。十四歳よりバッハ平均律を練習、十九歳でアルカディア魔法大学に堂々と登場。得意曲は天野奏直伝の「古風なメヌエット」そして「黒鍵のエチュード」。好きな曲はモーリス・ラヴェル「ラ・ヴァルス」。雫ゆずりの曇り眼で睫毛の長い雰囲気のある美少年。時に残酷だが愛は広く深い。端正・果断・沈着。諧謔趣味がある。
「光芒の後に消えればいいと、英雄たちはそうつぶやく。しかし清き矢は折れぬ。祈月清矢、見参!」「集中!(C1)」「休止!→軽快に!(C4)」「墜ちろ!(C5)」「飛んでいけ!(C6)」「追悼曲だ/美しく清冽に!(Kill move)」「勝利必定!」「我が弦は切れない」「混迷の時代は去った! 凱歌を! 歓声を!」「……カタストロフ」「この月はただの白い影、WhiteMoon」
恋愛時:「充希、誇らしい」「詠、上々だ」「お遊びも大概にしろ」「レディ・ファーストと言うしな」「詠を愛してはいるけど?」「そんなに簡単にはやらせない」「待て、伏せ、お手、ってしちゃダメだろ」
「清矢様って呼んで」「清矢様」「その快楽に慣れろ。『主従』って分かってるか? 逆転しちゃダメなんだ」「好きな相手を思い通りにしようとしすぎなんだ、俺もお前も」「詠。お前のしつけで時間をとらせるな」
充希「清矢くんファーストキスまだなの?」「しよっか、間接キス」
詠「俺それは納得いかない!」「キスが欲しいなら、この指舐めて」
「清矢担? 二人で充分だ」「我々はグランドマスターに完全に服従しています! We all subject perfectly to the Grandmaster and your majesty!」
「夜空、あなたの卑怯さがすべての混乱を招いている」「アルカディア魔法大学はたった十一歳時点の村の小僧による偏った認識を正史とした」「勝ち筋があるのなら勝つべきです(There is the way to pass.You must be winner.)」
#オリキャラ設定 #ComingOutofMagicianYozora #詠×清矢
★祈月清矢 白狼・黒髪ニュアンスレイヤーショート・曇り水晶(スモーキークォーツ)の雫譲りの瞳・身長 176cm(69.29inch) クーデレ女王様受け
Seiya Kigetsu (Sacred arrow of Kigetsu),NewMoon
属性:聖・光・風(天空)・水(本性属性光)かに座 The Canser or The Crab 4th zodiac Sign 7/10生まれ
・テレパス強度・中
・紋章入りマンゴーシュと片手剣、天山魔法大学ロッド、賢人機関(会員)ロッド、祈月当主戦装束、軍用ハーモニカ &ハープ(Japanese Army Equipment)
・BGM:東京事変「遭難」スピッツ「ルキンフォー」
夜空の弟。本作主人公。十四歳よりバッハ平均律を練習、十九歳でアルカディア魔法大学に堂々と登場。得意曲は天野奏直伝の「古風なメヌエット」そして「黒鍵のエチュード」。好きな曲はモーリス・ラヴェル「ラ・ヴァルス」。雫ゆずりの曇り眼で睫毛の長い雰囲気のある美少年。時に残酷だが愛は広く深い。端正・果断・沈着。諧謔趣味がある。
「光芒の後に消えればいいと、英雄たちはそうつぶやく。しかし清き矢は折れぬ。祈月清矢、見参!」「集中!(C1)」「休止!→軽快に!(C4)」「墜ちろ!(C5)」「飛んでいけ!(C6)」「追悼曲だ/美しく清冽に!(Kill move)」「勝利必定!」「我が弦は切れない」「混迷の時代は去った! 凱歌を! 歓声を!」「……カタストロフ」「この月はただの白い影、WhiteMoon」
恋愛時:「充希、誇らしい」「詠、上々だ」「お遊びも大概にしろ」「レディ・ファーストと言うしな」「詠を愛してはいるけど?」「そんなに簡単にはやらせない」「待て、伏せ、お手、ってしちゃダメだろ」
「清矢様って呼んで」「清矢様」「その快楽に慣れろ。『主従』って分かってるか? 逆転しちゃダメなんだ」「好きな相手を思い通りにしようとしすぎなんだ、俺もお前も」「詠。お前のしつけで時間をとらせるな」
充希「清矢くんファーストキスまだなの?」「しよっか、間接キス」
詠「俺それは納得いかない!」「キスが欲しいなら、この指舐めて」
「清矢担? 二人で充分だ」「我々はグランドマスターに完全に服従しています! We all subject perfectly to the Grandmaster and your majesty!」
「夜空、あなたの卑怯さがすべての混乱を招いている」「アルカディア魔法大学はたった十一歳時点の村の小僧による偏った認識を正史とした」「勝ち筋があるのなら勝つべきです(There is the way to pass.You must be winner.)」
#オリキャラ設定 #ComingOutofMagicianYozora #詠×清矢
#[創作BL版深夜の60分一本勝負] #[詠×清矢]
お題:「雑誌」「モデル」
櫻庭詠×祈月清矢(Arcadia Magic Academy Ver.)
12/02 21:02-21:43
金曜は同室の黒須イアソンが全コマ授業の日で、俺は餌付けかよって思いながらもガムとかロリポップとかジュースとか、ともかくしゅわしゅわ甘いものを用意して、あとは念のため、一応念のためにハンドクリームの残量を確認して部屋もばっちり掃除した。四限が終わると俺は清矢くんを誘った。
「なあなあ清矢くん。この後俺の部屋で一緒に勉強しよーぜ」
「勉強? 下半身使ったやつは聖属性塔ではごめんだぞ」
「ちげー。そんなことしねー。イアソンにチクられたら俺、退寮だし」
「そういや俺も詠《よみ》に試したいことがあるんだよな。ちょっと待ってな。時間足りるといいけど」
清矢くんはそう言ってにんまり笑うと、充希といっしょに風属性塔まで戻ってった。せっかくの二人きりになるチャンスだってのに、充希まで来たらヤダなぁって俺は心の中で泣いた。
清矢くんとの恋は、アルカディア大に来てからそんなんばっかだ。せっかくカラダで結ばれたのに、清矢くんはセックスを渋ってばっかり。日ノ本にいたころとは違ってゲイバレ気にせずイチャイチャして、恋人だって公言できるのはいいけど、肝心な恋人時間が足りない。
いじけながら待ってると、清矢くんが部屋に直接やってきた。プラスチック製の何かカラフルなトイカメラを持ってきてる。神威研究室に置いてあったやつパクってきたんだ、なんて恐ろしーことを平気で言う。俺の恋人は見た目どおりの優等生サマだけど、単なる柔和なイイ子ちゃんではない。そんなら好きにはなってねーけど。そんで、含みのある色っぽい笑顔で俺に言った。
「なぁ、詠。エッチな写真とろーぜ」
「は? 今なんて言った?」
「詠は服はまだしも身体だけは鍛えてるじゃん? だから色っぽい写真が欲しい」
清矢くんは相変わらずちょっと意地悪な言葉で俺を刺した。故郷で雑誌見てたら「ファッションファイターヨミ」って笑いだしたのを思い出す。そんなにダサくねーよ! 清矢くんに言われてからは、雑誌に載ってるモテファッションと同じデザインそのまま買うようにしたし。それがまたビミョーに似合ってないとか口出してきて、そんで最終的には「どんなにダサくても詠が好き♥ 愛してるぞー」とか言って上手くごまかしたつもりでいやがるから本当にムカつく。エッチできるようになってからは俺が攻め手だから少しは溜飲も下がるかと思いきや、「場所がない。バレたら退寮」の一点張りだ。
俺の清矢サマはお母さん似の古風なうつくしー美少年顔で悪い悪い遊びを提案する。
「さ、上半身脱いで。俺のオカズにしてやるから♥」
「や、やめろよ。だいたいどうやって現像すんだよ」
「これ、撮ったはしからプリントするやつだから二、三枚ならバレねーよ。欲しいなー、詠の半裸写真」
早くしないとイアソン帰ってくるぞみたいな脅しかけられて、俺はしぶしぶトレーナーと中に着てたカットソーを脱いだ。アルカディア大に着た後も毎日剣術の鍛錬と身体づくりはしてるから、何の恥もないはずだ。腹筋も割れてるし。清矢くんはちょっと悔し気にふふんと笑う。
「やっぱ詠はハダカのほうがいい男っつーか、フルヌードはさすがにやばいな。さーて、小道具小道具」
「小道具って何だよ!」
「なにこれ。食べようと思ってたの? じゃあ剥いたげるから、あーんして」
ロリポップの包装紙をはがして、どぎつく赤い飴玉を、俺の唇に押し当てた。俺は敗北感にまみれながらそれをあむっと咥えて、指示どおりにベッドに寝転んで、なめた。
「もっとヤらしくペロペロして。乳首舐めてるみたいに♥」
「……清矢くん。変にエロいこと言うなよな」
「ちょっと飴に歯立ててみて。そうそう、いいよ詠~。ワイルドにいこーぜ」
清矢くんはセミヌードの俺にレンズを向けながら呑気にそんなことを言う。俺はどうしてもうまくノリきることができずに、動きはぎこちない。
「目線こっちこっち。ポーズ取ってみなよ、モデルみたいに」
「誰かに見られちゃったらどーすんだよ。俺やだよ、こんな写真とるの」
「……じゃあ、詠も俺の好きなとこ撮っていいから。詠の大好きなハメ撮りだってオッケーだぜ? 局部写真も。それに比べたら断然、大人しいだろ」
口ではそう言ってるけどぜってーオッケーしねーくせに。
あと、そんな写真べつに俺は大好きじゃない。た、多分。大体何に使うんだよ、局部写真なんて! セックスのとき見せつけて言葉責めするくらいしか用途が思いつかない。「なぁ清矢、お前のお尻、今こんなになっちゃってるんだよ」的な? さすがにそれは変態すぎるだろ。終わった後口きいてもらえなさそう。あとオナニーのときにオカズにするとか? 空しすぎ。だいたい誰かに盗み見られたらって思うとそれだけで全身の産毛が逆立つ。清矢くんは、エッチの時だけは、俺だけのカワイーお雛様になる。それを堪能するのは俺だけの特権であり、他人に見せびらかすモノじゃない。
色々考えちゃってむっつり飴玉くわえてると、待ちきれなかったのか清矢くんがパシャっと音たてて写真をとった。カメラから吐き出されたフィルムの中で、半裸の俺のふてくされた表情が感光して徐々に像を結ぶ。俺たちは些事を忘れて写真を観察した。
「うーん、ワイルドウルフって感じ。ちょっとピントボケてるかな。じゃ、詠も撮っていーよ、俺の痴態」
「痴態はちょっと……ヤバすぎない? 流出とか考えるじゃん」
「そんなこと、詠がやるわけねーだろ、信用してる。それとも健全なのにする? 清矢サマのとびっきりのアイドルスマイルくれてやるぜ?」
「……じゃあ、ローブも下もぜんぶ脱いで、俺のベッドに寝転んで」
……これってやっぱり『ハメ撮り』だよなぁとか思いながら、全裸になった清矢くんの、挑戦的な表情とピンクの乳首をわざわざ、寮のベッド背景で撮っちゃう。ファインダーごしに俺の舐めてたロリポップにキスしてる清矢くんは期待どおりエロかった。オパールみたいにきらきら真っ白な肌。つややかな黒髪に、ぽってり紅いクチビル。絶対フェラの暗喩に違いないちょっとだけ曲げられた舌先。見てる人の欲情をあざわらうみたいな余裕ある笑み。俺は愚かな犬みたいに股間をきちきちにしながらインスタントカメラで恋人を撮る。……ここ、聖属性塔だぞ。聖職者宿舎。『みだらな行為』は当たり前に禁止事項。何重もの冒涜でじっとり興奮が沁みてくる。
「詠の分はオッケ?」
「……うん。なぁ清矢くん」
「これで充分だよなぁ、じゃあ服着よ。最後にツーショット撮ろうぜ」
そんな生ぬるい逃げ方ゆるさない、って思った。俺はあつらえられた据え膳をベッドに押しつぶして、ひどく乱暴なキスを始めた。(了)
お題:「雑誌」「モデル」
櫻庭詠×祈月清矢(Arcadia Magic Academy Ver.)
12/02 21:02-21:43
金曜は同室の黒須イアソンが全コマ授業の日で、俺は餌付けかよって思いながらもガムとかロリポップとかジュースとか、ともかくしゅわしゅわ甘いものを用意して、あとは念のため、一応念のためにハンドクリームの残量を確認して部屋もばっちり掃除した。四限が終わると俺は清矢くんを誘った。
「なあなあ清矢くん。この後俺の部屋で一緒に勉強しよーぜ」
「勉強? 下半身使ったやつは聖属性塔ではごめんだぞ」
「ちげー。そんなことしねー。イアソンにチクられたら俺、退寮だし」
「そういや俺も詠《よみ》に試したいことがあるんだよな。ちょっと待ってな。時間足りるといいけど」
清矢くんはそう言ってにんまり笑うと、充希といっしょに風属性塔まで戻ってった。せっかくの二人きりになるチャンスだってのに、充希まで来たらヤダなぁって俺は心の中で泣いた。
清矢くんとの恋は、アルカディア大に来てからそんなんばっかだ。せっかくカラダで結ばれたのに、清矢くんはセックスを渋ってばっかり。日ノ本にいたころとは違ってゲイバレ気にせずイチャイチャして、恋人だって公言できるのはいいけど、肝心な恋人時間が足りない。
いじけながら待ってると、清矢くんが部屋に直接やってきた。プラスチック製の何かカラフルなトイカメラを持ってきてる。神威研究室に置いてあったやつパクってきたんだ、なんて恐ろしーことを平気で言う。俺の恋人は見た目どおりの優等生サマだけど、単なる柔和なイイ子ちゃんではない。そんなら好きにはなってねーけど。そんで、含みのある色っぽい笑顔で俺に言った。
「なぁ、詠。エッチな写真とろーぜ」
「は? 今なんて言った?」
「詠は服はまだしも身体だけは鍛えてるじゃん? だから色っぽい写真が欲しい」
清矢くんは相変わらずちょっと意地悪な言葉で俺を刺した。故郷で雑誌見てたら「ファッションファイターヨミ」って笑いだしたのを思い出す。そんなにダサくねーよ! 清矢くんに言われてからは、雑誌に載ってるモテファッションと同じデザインそのまま買うようにしたし。それがまたビミョーに似合ってないとか口出してきて、そんで最終的には「どんなにダサくても詠が好き♥ 愛してるぞー」とか言って上手くごまかしたつもりでいやがるから本当にムカつく。エッチできるようになってからは俺が攻め手だから少しは溜飲も下がるかと思いきや、「場所がない。バレたら退寮」の一点張りだ。
俺の清矢サマはお母さん似の古風なうつくしー美少年顔で悪い悪い遊びを提案する。
「さ、上半身脱いで。俺のオカズにしてやるから♥」
「や、やめろよ。だいたいどうやって現像すんだよ」
「これ、撮ったはしからプリントするやつだから二、三枚ならバレねーよ。欲しいなー、詠の半裸写真」
早くしないとイアソン帰ってくるぞみたいな脅しかけられて、俺はしぶしぶトレーナーと中に着てたカットソーを脱いだ。アルカディア大に着た後も毎日剣術の鍛錬と身体づくりはしてるから、何の恥もないはずだ。腹筋も割れてるし。清矢くんはちょっと悔し気にふふんと笑う。
「やっぱ詠はハダカのほうがいい男っつーか、フルヌードはさすがにやばいな。さーて、小道具小道具」
「小道具って何だよ!」
「なにこれ。食べようと思ってたの? じゃあ剥いたげるから、あーんして」
ロリポップの包装紙をはがして、どぎつく赤い飴玉を、俺の唇に押し当てた。俺は敗北感にまみれながらそれをあむっと咥えて、指示どおりにベッドに寝転んで、なめた。
「もっとヤらしくペロペロして。乳首舐めてるみたいに♥」
「……清矢くん。変にエロいこと言うなよな」
「ちょっと飴に歯立ててみて。そうそう、いいよ詠~。ワイルドにいこーぜ」
清矢くんはセミヌードの俺にレンズを向けながら呑気にそんなことを言う。俺はどうしてもうまくノリきることができずに、動きはぎこちない。
「目線こっちこっち。ポーズ取ってみなよ、モデルみたいに」
「誰かに見られちゃったらどーすんだよ。俺やだよ、こんな写真とるの」
「……じゃあ、詠も俺の好きなとこ撮っていいから。詠の大好きなハメ撮りだってオッケーだぜ? 局部写真も。それに比べたら断然、大人しいだろ」
口ではそう言ってるけどぜってーオッケーしねーくせに。
あと、そんな写真べつに俺は大好きじゃない。た、多分。大体何に使うんだよ、局部写真なんて! セックスのとき見せつけて言葉責めするくらいしか用途が思いつかない。「なぁ清矢、お前のお尻、今こんなになっちゃってるんだよ」的な? さすがにそれは変態すぎるだろ。終わった後口きいてもらえなさそう。あとオナニーのときにオカズにするとか? 空しすぎ。だいたい誰かに盗み見られたらって思うとそれだけで全身の産毛が逆立つ。清矢くんは、エッチの時だけは、俺だけのカワイーお雛様になる。それを堪能するのは俺だけの特権であり、他人に見せびらかすモノじゃない。
色々考えちゃってむっつり飴玉くわえてると、待ちきれなかったのか清矢くんがパシャっと音たてて写真をとった。カメラから吐き出されたフィルムの中で、半裸の俺のふてくされた表情が感光して徐々に像を結ぶ。俺たちは些事を忘れて写真を観察した。
「うーん、ワイルドウルフって感じ。ちょっとピントボケてるかな。じゃ、詠も撮っていーよ、俺の痴態」
「痴態はちょっと……ヤバすぎない? 流出とか考えるじゃん」
「そんなこと、詠がやるわけねーだろ、信用してる。それとも健全なのにする? 清矢サマのとびっきりのアイドルスマイルくれてやるぜ?」
「……じゃあ、ローブも下もぜんぶ脱いで、俺のベッドに寝転んで」
……これってやっぱり『ハメ撮り』だよなぁとか思いながら、全裸になった清矢くんの、挑戦的な表情とピンクの乳首をわざわざ、寮のベッド背景で撮っちゃう。ファインダーごしに俺の舐めてたロリポップにキスしてる清矢くんは期待どおりエロかった。オパールみたいにきらきら真っ白な肌。つややかな黒髪に、ぽってり紅いクチビル。絶対フェラの暗喩に違いないちょっとだけ曲げられた舌先。見てる人の欲情をあざわらうみたいな余裕ある笑み。俺は愚かな犬みたいに股間をきちきちにしながらインスタントカメラで恋人を撮る。……ここ、聖属性塔だぞ。聖職者宿舎。『みだらな行為』は当たり前に禁止事項。何重もの冒涜でじっとり興奮が沁みてくる。
「詠の分はオッケ?」
「……うん。なぁ清矢くん」
「これで充分だよなぁ、じゃあ服着よ。最後にツーショット撮ろうぜ」
そんな生ぬるい逃げ方ゆるさない、って思った。俺はあつらえられた据え膳をベッドに押しつぶして、ひどく乱暴なキスを始めた。(了)
ひっそりと夜空の話・第一話「万聖節の夜物語」を更新していました。
このブログに断簡をアップしてはいますが、
弟・清矢の話をプラスするので、夜空が悪役に変更になっています。
大きな変更は以下のとおり。
1.夜空が11歳当時に新月刀その他を父に無断で持ち逃げした。
2.故郷の幼馴染や軍閥の関係者はそれを追っている。
以前の仲良しマジシャンBLが好きだった向きには申し訳ないのですが、
夜空主人公だとなかなかボス「日の輝巫女」討伐までいかないので
こんな感じです。ただ、このシリーズは魔法学園物としてまったり続ける予定でもありますので
お手すきのときに読んでいただければ充分かなとも思います。
以上、ご報告でした。
清矢側の設定などのお話については今年中にあげられたらと思います。
ショタショタな熱血ワンコ攻め×クーデレ高飛車姫受け です。
このブログに断簡をアップしてはいますが、
弟・清矢の話をプラスするので、夜空が悪役に変更になっています。
大きな変更は以下のとおり。
1.夜空が11歳当時に新月刀その他を父に無断で持ち逃げした。
2.故郷の幼馴染や軍閥の関係者はそれを追っている。
以前の仲良しマジシャンBLが好きだった向きには申し訳ないのですが、
夜空主人公だとなかなかボス「日の輝巫女」討伐までいかないので
こんな感じです。ただ、このシリーズは魔法学園物としてまったり続ける予定でもありますので
お手すきのときに読んでいただければ充分かなとも思います。
以上、ご報告でした。
清矢側の設定などのお話については今年中にあげられたらと思います。
ショタショタな熱血ワンコ攻め×クーデレ高飛車姫受け です。
#[創作BL版深夜の60分一本勝負] #[詠×清矢]
お題:「抱擁」「ぬくもり」
櫻庭詠×祈月清矢(Arcadia Magic Academy Ver.)
11/25 23:02-23:57
衝撃シーン。そう思ってしまったのは何でだろうか。家宝のほとんどを持ち逃げし、返さないと頑強に言い張っていた兄、祈月夜空が、「カナリアのような」と呼ぶ少年と愛を交わし合ってるのを見てしまった。
それは一瞬だったけれど、段の入った長い髪を、さらりとウィリアムがすくいとった。そして頬に口づけする。軽いたわむれは、普段俺が詠(よみ)とするそれと変わりなくて、俺は何だかやりきれない気持ちになった。性格がいいタイプとは言えない俺は、ズボンのポケットに両手を入れてふらふらと歩み寄った。
「あ、清矢……」
兄は気まずい様子で俺を卑屈な目で見た。そんな風にしなくても、幸せだって笑顔をつくったって本当は構わないのに。ウィリアム・マリーベルは金色の髪に翠色の瞳という恵まれた美貌で俺をにらむ。
「何か問題が? 君と詠(よみ)もずいぶんと親しいようだが」
「いや。この交友関係に口出しするほど俺も野暮じゃない。ウィル・マリーベル、夜空の悪事には巻き込まれないようにな」
「悪事って……! なんだよお前は」
「マフィアとの付き合いは悪事だろう。清算しなけりゃ不幸にするだけだぞ。祈月当主からの訓戒だ」
「君にそこまで心配してもらう必要はない、セイヤ」
ウィル・マリーベルは涼し気にかわした。だが、三日後の授業「闇属性魔術論基礎101」の教室の奥に、彼は何気なく座っていた。
俺は違和感を持った。だって、一年先輩のこいつは、こんな属性基礎の授業はもう取り終えているはずだからだ。何か夜空関係の話だと直感した俺は、彼の隣に席をとった。詠(よみ)も充希もやがて来るだろうが、授業前のざわつきの中で要件だけは聞いておきたい。
「ウィル・マリーベル。話なら次の授業、俺は聖属性塔の予定だ。空いてるならそこまで自然に付き合えるが」
「ああ。夜空のマフィアとの繋がりの件については私も問題と思っている。それに関して、我々は協力して当たらないか?」
「悪くない。善意の第三者を巻き込み続けるのは俺が申し訳ないし、家の恥だ」
「オーケー。だが私は次の時間も闇属性塔だ。あらためて安息日に話をしよう」
約束をとりつけると、肩をぐっと押された。振り返ると詠(よみ)の精悍な顔があった。据わった目で俺を見つめている。
「清矢くん。二人で何の話?」
「ああ、まぁ、内密の話題だ。セイヤの瞳はスモーキークォーツに似ているな。美しい」
「……ウィル・マリーベル。あなたの瞳も美しいアクア・マリンだ」
俺は調子を合わせる。ウィル・マリーベルはくすりと笑って軽くキスして去っていった。じゃあ、夜空との仲も深読みしすぎなのか? 俺は頬杖をついた。
怒ったのは詠(よみ)である。
「清矢くん。説明して」
「何が? ここは外国だぞ。あの程度でいちいち目くじら立ててちゃあ……」
「俺はムリ。ぜってームリ。日本人だからさあ」
詠(よみ)はそう居直って隣に座ってぐっと距離をつめる。そして、並んだまま肩を露骨に抱いてきた。チャラい男がするようなあつかましい仕草が気に障って、俺は顔を背けてふりほどく。詠(よみ)はすごむ。
「何なわけ」
「どうしたんだよいきなり。もう授業始まるぞ」
「清矢くんはいつもそれだろ。俺の気持ちくらい考えろよ!」
マスターウィザードのマーキュリオが入ってきて口論は一時お預けになった。詠(よみ)は授業終わりまでずっとカタカタと机を指でたたいてた。鐘が鳴って課題が出され、同級生たちが引けていく。詠(よみ)は半ば、期待通りに、俺の手を強引に引いてくれた。 闇属性塔の大教室を出て、廊下の袋小路までたどりつく。そこの非常口のドアの内鍵を開けて、塔のほとりに出た。俺を壁に追い詰めて、両腕で閉じ込める。
「何でマリーベルにキスさせたの」
「もののはずみだよ。夜空にもしてた。別に、大した意味じゃ……」
「じゃあ俺とするキスもみんな大した意味じゃないって言うの? 清矢くん。俺お前の事殴りそう」
「……」
俺は逃げ場がなくて詠(よみ)の胴をぎゅっと抱きしめた。厚い胸板とぬくもり。一気に後悔と切ない想いがこみ上げる。こんな風にフラフラしてたらすぐに失ってしまう。
「ごめん。ホントに。お前がしてたら怒るくせに」
「マジでムカつく。じゃあ自分からお詫びして」
その言葉に応える方法はいくつかあるだろう。でも俺はいちばんシンプルなものを選んだ。
「愛してる。こんな異国の任務にまで詠(よみ)に付き合ってもらってるのは俺のほうだ。何でも言うこと聞く。ふたりだけのときは……」
「本気だな? 絶対逃さないから」
詠(よみ)の声も瞳もぎらついたナイフみたいだ。俺は、観念して耳のあたりにキスする。肺まで締め付けるぐらいにきついきつい抱擁が来る。ホントは殴りつけたいんだろう。
「明日、軍事訓練の後。好きなだけヤラせて」
「……わかった」
俺はうなだれてしおらしく了解する。……まったく、とんだ火中の栗だ。(了)
お題:「抱擁」「ぬくもり」
櫻庭詠×祈月清矢(Arcadia Magic Academy Ver.)
11/25 23:02-23:57
衝撃シーン。そう思ってしまったのは何でだろうか。家宝のほとんどを持ち逃げし、返さないと頑強に言い張っていた兄、祈月夜空が、「カナリアのような」と呼ぶ少年と愛を交わし合ってるのを見てしまった。
それは一瞬だったけれど、段の入った長い髪を、さらりとウィリアムがすくいとった。そして頬に口づけする。軽いたわむれは、普段俺が詠(よみ)とするそれと変わりなくて、俺は何だかやりきれない気持ちになった。性格がいいタイプとは言えない俺は、ズボンのポケットに両手を入れてふらふらと歩み寄った。
「あ、清矢……」
兄は気まずい様子で俺を卑屈な目で見た。そんな風にしなくても、幸せだって笑顔をつくったって本当は構わないのに。ウィリアム・マリーベルは金色の髪に翠色の瞳という恵まれた美貌で俺をにらむ。
「何か問題が? 君と詠(よみ)もずいぶんと親しいようだが」
「いや。この交友関係に口出しするほど俺も野暮じゃない。ウィル・マリーベル、夜空の悪事には巻き込まれないようにな」
「悪事って……! なんだよお前は」
「マフィアとの付き合いは悪事だろう。清算しなけりゃ不幸にするだけだぞ。祈月当主からの訓戒だ」
「君にそこまで心配してもらう必要はない、セイヤ」
ウィル・マリーベルは涼し気にかわした。だが、三日後の授業「闇属性魔術論基礎101」の教室の奥に、彼は何気なく座っていた。
俺は違和感を持った。だって、一年先輩のこいつは、こんな属性基礎の授業はもう取り終えているはずだからだ。何か夜空関係の話だと直感した俺は、彼の隣に席をとった。詠(よみ)も充希もやがて来るだろうが、授業前のざわつきの中で要件だけは聞いておきたい。
「ウィル・マリーベル。話なら次の授業、俺は聖属性塔の予定だ。空いてるならそこまで自然に付き合えるが」
「ああ。夜空のマフィアとの繋がりの件については私も問題と思っている。それに関して、我々は協力して当たらないか?」
「悪くない。善意の第三者を巻き込み続けるのは俺が申し訳ないし、家の恥だ」
「オーケー。だが私は次の時間も闇属性塔だ。あらためて安息日に話をしよう」
約束をとりつけると、肩をぐっと押された。振り返ると詠(よみ)の精悍な顔があった。据わった目で俺を見つめている。
「清矢くん。二人で何の話?」
「ああ、まぁ、内密の話題だ。セイヤの瞳はスモーキークォーツに似ているな。美しい」
「……ウィル・マリーベル。あなたの瞳も美しいアクア・マリンだ」
俺は調子を合わせる。ウィル・マリーベルはくすりと笑って軽くキスして去っていった。じゃあ、夜空との仲も深読みしすぎなのか? 俺は頬杖をついた。
怒ったのは詠(よみ)である。
「清矢くん。説明して」
「何が? ここは外国だぞ。あの程度でいちいち目くじら立ててちゃあ……」
「俺はムリ。ぜってームリ。日本人だからさあ」
詠(よみ)はそう居直って隣に座ってぐっと距離をつめる。そして、並んだまま肩を露骨に抱いてきた。チャラい男がするようなあつかましい仕草が気に障って、俺は顔を背けてふりほどく。詠(よみ)はすごむ。
「何なわけ」
「どうしたんだよいきなり。もう授業始まるぞ」
「清矢くんはいつもそれだろ。俺の気持ちくらい考えろよ!」
マスターウィザードのマーキュリオが入ってきて口論は一時お預けになった。詠(よみ)は授業終わりまでずっとカタカタと机を指でたたいてた。鐘が鳴って課題が出され、同級生たちが引けていく。詠(よみ)は半ば、期待通りに、俺の手を強引に引いてくれた。 闇属性塔の大教室を出て、廊下の袋小路までたどりつく。そこの非常口のドアの内鍵を開けて、塔のほとりに出た。俺を壁に追い詰めて、両腕で閉じ込める。
「何でマリーベルにキスさせたの」
「もののはずみだよ。夜空にもしてた。別に、大した意味じゃ……」
「じゃあ俺とするキスもみんな大した意味じゃないって言うの? 清矢くん。俺お前の事殴りそう」
「……」
俺は逃げ場がなくて詠(よみ)の胴をぎゅっと抱きしめた。厚い胸板とぬくもり。一気に後悔と切ない想いがこみ上げる。こんな風にフラフラしてたらすぐに失ってしまう。
「ごめん。ホントに。お前がしてたら怒るくせに」
「マジでムカつく。じゃあ自分からお詫びして」
その言葉に応える方法はいくつかあるだろう。でも俺はいちばんシンプルなものを選んだ。
「愛してる。こんな異国の任務にまで詠(よみ)に付き合ってもらってるのは俺のほうだ。何でも言うこと聞く。ふたりだけのときは……」
「本気だな? 絶対逃さないから」
詠(よみ)の声も瞳もぎらついたナイフみたいだ。俺は、観念して耳のあたりにキスする。肺まで締め付けるぐらいにきついきつい抱擁が来る。ホントは殴りつけたいんだろう。
「明日、軍事訓練の後。好きなだけヤラせて」
「……わかった」
俺はうなだれてしおらしく了解する。……まったく、とんだ火中の栗だ。(了)
お題「照れ隠し」「かじかむ指先」
望月充希×祈月清矢(Arcadia Magic Academy Ver)
クリスマス休暇が始まった。全寮制かつグローバル規模のアルカディア魔法大学では、一ヶ月程度の休みでは里帰りには充分でなく、とくにアジア圏の学生たちにとっては、聖属性塔カセラドルで行われるミサに参加し、故郷へ手紙を送る程度が関の山で、中には直後に迫った卒論の締め切りや、テストに備えて勉強にいそしむ者までいる。
望月充希および祈月清矢の寄る風属性塔では、大勢を占めるローク神殿出身者たちが神殿に呼び返され、いつもよりも静かであった。
清矢と幼なじみの櫻庭詠は聖属性塔の居残り組というわけで、宗教も違うのに便利にミサの裏方にこき使われている。ハロウィーンの学園祭からのイベント続きに、少々疲れはててもいるようだった。
ルームメイトの清矢は、恋人である詠の不在をとくに気にした様子もない。彼もまた普段の多忙ぶりを返上せんと、勉学に励む徒であった。ぴんと立った狼の獣耳をときおり弄り回しながら、デスクに向かってペンを持ち、魔導書やテキストを繰っている。
ヨーロッパ諸国の冬である。おまけに個別の部屋には暖房は入っていないから、非常に寒い。充希はミトンの分厚さに四苦八苦しながら、着込んだミリタリーコートのジッパーを首もとまでしめきった。ベッドに座ったままちょっかいをかけてみる。
「清矢くんは、クリスマスだけど詠ちゃんとデートしないの?」
「店も閉まってるし、何するって言うんだ? せいぜいふたりで甘ったるいホットココアでも飲んで……っていう具合だろ。夜空とマリーベルじゃないんだぞ。今更だ」
「俺はしたいけどね、恋人とデート。あーあ、ローク神殿の女の子たちはみんな帰っちゃったしつまんなーい」
「レダ・アチュアンとは反対だって何度言ったらわかる。神殿の巫女だぞ? 大事にしかならない……ラブ・アフェアが欲しいだけなら、観光客でも捕まえればいい」
清矢の言葉はなかなか辛辣だった。充希は悔しまぎれにため息をつく。一年年長の彼は、いまだに女の子や、あるいは相性よろしき男の子と、体の関係にまで至ったことがなかった。シャギーショートに大柄な体躯、ひょうひょうとした優し気な性格と、モテ要素自体は揃っているのにである。ダサ坊の詠までもが清矢との間で童貞を卒業しているというのはあまり気に食わない事実であった。
「ラブ・アフェアが欲しいだけだから……清矢くん、相手してくれる? 俺も詠ちゃんくらいには肉体派だよん?」
「サイッコーに性欲をもて余したって感じのお誘いだな。いいよ、ちょっとだけなら」
清矢は軽く了解して充希の膝の上に腰を下ろしてきた。完全に体重をかけていないために、ふわっとした感触が腿にかかる。狐亜種とまではいかないが、立派な尾が膝を撫でてかすかに暖かい。
「ふふ。詠よか気持ちヨくしてくれるよな」
「うん……清矢サマの仰せの通り♥」
腰に手を回して、白狼の尾を撫でる。背中にまで手のひらを滑らせ、キスを……しようとすると巧妙にずらされてかわりに獣耳を舐められた。
ふと見つめあう。黒目がちで、何かしら訴えるような潤いのある瞳。睫毛も長くまぶたを縁取る。小さめな鼻にこれまた慎ましげなふっくらした唇。そんな乙女のような整った顔立ちなのに視線はどこかしら冷たい。
……この子が女の子だったら詠ちゃんなんかに渡しはしないのにねぇ。
充希ははめていた手袋を外して手の甲に自身のそれを被せた。清矢の冷えきった指を温めるように握りこむ。しばらくそうして体温を分けてやると、清矢は思いきりよく膝から立ち上がった。
「単に人肌恋しいってだけだろうしこれで終了。充希だってルームメイトに尻狙われたくはないだろ?」
「えーっ、俺そっちなワケ?」
「そっちが嫌なんてワガママじゃない? 詠から奪いたいならそれくらい言わないと」
「何それー。なんか、体よくつまみ食いされたって感じだけど」
「ごちそうさまでした♥️ でも、充希に抱かれるヤツは幸せだよ。俺相手でもこんな、優しいんだし」
清矢は柔らかく笑むと、先ほどよりは少し温もった指を絡ませてきゅっと恋人繋ぎをしてきた。そうして握った指にちゅっとキスを落とす。充希は呆れて茶化した。
「ホント、清矢くんも女殺しだこと」
「まーなー、お前とレダの関係には口出ししちまってるし。でもこの程度で止まるんなら安いものってか」
照れかくしでぶつぶつ言うのも気が置けない感じがした。暇つぶしにはなったし、せいぜい誤魔化されてやることにした充希は、するりと逃げるように繋いだ手を離す。……このお遊びは、もう一人の友人には絶対に内緒だ。秘密を持ったおかげで少しは孤独な憂鬱も晴れた感じがした。
(了)